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電情日記

カミナリ様について考える

脇本隆之

今回の電情入門は私の研究分野であるインパルス電圧測定とかかわりの深いカミナリ様について考えてみたいと思います。雷は稲妻とも呼ばれます。雷の発生が稲の結実する秋に向けて多くなることから、雷が稲の成長に必要な成分を持っていると考えられていて、“稲”が雷と結婚して子を授かるということで古来配偶者を意味する妻の字を充てて稲妻とされるようになったといわれています。作物の成長に欠かせない窒素肥料が田畑で分解されるときには、温室効果ガスである亜酸化窒素を放出するのですが、落雷のような放電現象によって亜酸化窒素の生成が促されることはよく知られています。このことから稲の成長に必要な養分も実際に供給されているのではないかと考えられています。

“雷”の語についても昔は天の神様が鳴らす「神鳴り」が語源であるし、“いかづち”も“厳し(いかし)”い(づ)“水霊(みずち)”から来たといわれています。

このように、昔から雷は神秘的なものとして扱われてきました。昔話にも「雷様の病気(栃木)」、「神上の夕立(熊本)」、「あなほり長兵衛(青森)」、「落ちた雷様(山口)」、「雷様と桑の木(福島)」など全国各地に雷様と人々との物語が分布しています。ことさら関東平野には落雷が多く、雷害から身や農作物を守ろうと、雷の神様を祀った社が各地に点在しています。この数をざっと調べてみましたところ、たとえば埼玉県では29ヶ所に上りました。これらは雷電神社とか雷電社などという名前で鎮守として深く地域に根ざしています。写真は埼玉県春日部市の雷電社です。石板でできた由来書をみてみますと、別雷神(わけいかづちのかみ)が祀られていました。他の雷電神社もいくつか巡ってみましたが、お参りした限りではどのお社も別雷神が祀られているようでした。

別雷神は雷神である火雷神(ほのいかづちのかみ・イザナミの命が生んだ雷神)を親とする雷神であり、賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと・京都下賀茂神社の祭神)の娘の玉依姫(たまよりひめ)が鴨川で火雷神が化身した丹塗矢(にぬりや)を見つけたことで誕生しました(山城国風土記)。雷と川に影響を与える神を信仰することは農民にとっては命に関わる切実なことだったのでしょう。上に述べた熊本県人吉地方の民話「神上の夕立」では降水量の少なかった神立地区で雷様を助けたら、その後その地域で真っ先に夕立が降るようになったという話が伝えられています。夏の夕立は農作物の成長を進め、農民たちの暮らしを守るわけですから雷に対して恐怖と同時に崇敬の念、すなわち畏怖を持って信仰したことがうかがえます。

別雷神は賀茂別雷神とも呼ばれ、京都上賀茂神社の祭神として祀られています。そして落雷除けのみならず、いまや電気産業の守護神としても信仰されています。電力機器には雷による損害を防止するためにアレスタと呼ばれる部品が使われていますし、家電製品にもバリスタと呼ばれる部品が組み込まれていて、雷による故障も昔に比べると断然少なくなってきました。

そのような現在でも神様に頼る部分はいまだに減らないのだと思うと何だか不思議な感じがしますね!

 

電情日記

国際会議と学術論文

脇田 和樹

昨年の9月1日から5日まで新潟市の朱鷺メッセにて第19回三元多元化合物国際会議(ICTMC-19)が開催されました。ICTMCは1973年(バス、英国)から続く伝統ある会議であり、構成元素が三元以上の化合物を切り口として太陽電池材料、発光材料、熱電材料、超電導材料など様々な分野の専門家が集まり、結晶成長分野、材料評価分野、コンピューター材料設計分野などでそれぞれの最新情報を紹介して議論する場です。今回は15か国から224名の参加者、約200件の発表があり盛況でした。また、これまでアジアからの参加は日本、中国、韓国、台湾からだけだったのですが、今回はタイから5名、フィリピンから4名の参加もあり、アジアでの科学技術の広がりを感じました。私の主な仕事はプログラム委員長、組織委員および国際諮問委員として大会運営の裏方でしたが、私の研究室からは大学院生5名が日頃の成果を発表しました。太陽電池材料に関する発表が3件とタリウム化合物の光学的特性に関する発表が2件でした。

ICTMCには私はシュトゥットガルト(ドイツ)で開催された第10回から参加していますが、それから20年になり昔からの顔なじみも増えました。国際会議ではそのような研究者仲間と久々に会い様々な話をじっくりできる機会があり、私にとって非常に有意義な場ですが、学生にも国内会議とは異なり他の研究者や学生と話せる機会が多くあり有用であると思っています。

会議後には、発表者に発表論文をドイツの論文誌Physica Status Solidi(pss)(WILEY-VCH)に投稿してもらい、先週の6月17日にpss(b)とpss(c)に97件の論文が掲載されました。私もこれらの論文誌の客員編集者としての仕事からやっと解放され一段落したところです。 また、研究室の学生の論文は5件とも無事採択されました。学生にとってもアブストラクト投稿から始まり、論文発表、論文投稿、レフリーとのやり取り、論文採択通知まで貴重な経験だったと思います。研究の成果を出すために努力することも重要ですが、その結果を以上のような形でまとめることも同様に研究にとっては重要なことです。次回2016年に開催されるICTMCは20回の記念大会で、ドイツのライプチヒに近いハレにあるMartin-Luther-UniversityのR. Scheer先生がChair personとなりました。まだ開催場所は正式に決定されていませんが、学生にも発表してもらいたく、学生の研究に対する努力とその成果を楽しみにしています。

電情日記

世界結晶年と半導体結晶

山本 秀和

今回は、私が研究テーマとしてきた半導体結晶の話をしたいと思います。

昨年2014年は「世界結晶年」に定められました。約100年前、マックス・フォン・ラウエ博士はX線による結晶の回折現象の謎を解明し1914年にノーベル物理学賞を受賞しました。そして、ヘンリー・ブラッグとローレンス・ブラッグ父子はX線回折により食塩の結晶構造を明らかにし、1915年にノーベル物理学賞を受賞しました。これらの業績の100周年を記念して、2014年が世界結晶年として制定されました。

結晶(クリスタル)というと、石英や雪の結晶を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。そもそも結晶とは何でしょう?簡単にいうと、結晶とは原子が結合して規則正しく配列した状態です(現在の正式な定義とは異なります)。結晶中の原子の配列にはいくつかのパターンがありますが、X線回折という現象を利用することにより構造を調べることができます。結晶中の原子の間隔はおよそ10-10m(0.1nm、1Å(オングストロームと読みます))程度です。X線は波長が10-11m(0.01nm)から10-8m (10nm)程度の電磁波ですので、原子の配列パターンを調べる良いものさしになります。

また20世紀には、量子力学と呼ばれる原子サイズのミクロな領域での現象を説明する新たな理論が確立しました。そして量子力学を用いて、結晶が電気を良く通す金属になったり、電気を通しにくい絶縁物になったり、電気を適度に通す半導体になったりするという性質を説明できるようになりました。この半導体の適度に電気を通すという性質は、いろいろな操作により電気の通し方をコントロールできることにつながり、様々に利用されています。それまで真空管で行われていた整流、検波、増幅、撮像、映像や電球や蛍光灯による照明などが全て半導体を用いて実現できるようになりました。

現在最も広く利用されている半導体はシリコン(Si、ケイ素)です。シリコンは、地表に酸素に次いで多く存在する元素であり(SiO2の形で存在しています。いわいる土や砂です)、比較的安く製造できることもあり、広く普及しています。みなさんの持っているスマホやiPadは、シリコンLSI(大規模集積回路)の塊です。これほど小さい機械の中にこれほど様々な機能を閉じ込められるのは、ひとえにシリコンLSIの恩恵です。考えたり記憶したりという人間の脳の機能から、カメラ、マイクやGPS機能までシリコンで実現されています。また、自然エネルギーの有効活用を可能にした太陽電池も半導体で製造されています。最も普及している太陽電池もシリコンでできています。

半導体は電気を光に変換(発光)することも可能です。シリコンは、光を発すること、特に可視光の発光は苦手です。可視光の発光は、化合物半導体と呼ばれる半導体で実現されています。光には赤、緑、青の光の三原色があり、この3つを組み合わせて様々な色を作り出すことができます。赤色と緑色の発光ダイオード(LED)は、ガリウム(Ga)、りん(P)、ヒ素(As)等の化合物で実現できました。

一方、青色は長く実現できていませんでしたが、ガリウム、窒素(N)、アルミニウム(Al)からなる化合物半導体により実現できました。皆さんもご存じの通り、昨年赤崎勇博士、天野浩博士、中村修二博士の3人が、窒化ガリウム(GaN)を用いた青色発光ダイオードの実用化で、ノーベル物理学賞を受賞されました。赤崎先生と天野先生が行ったのは、窒化ガリウム結晶の高品質化でした。そして中村先生が行ったのは、窒化ガリウム結晶の量産化技術の確立でした。世界結晶年にふさわしいノーベル賞だったと思います。

シリコンLSIの製造は、結晶メーカーとデバイスメーカーで完全な分業体制で行われています。シリコン結晶と円形のウエハ(図参照)への加工を結晶メーカーが行い、ウエハ上へのデバイスの作りこみをデバイスメーカーが行っています。昨年が世界結晶年ということで、応用物理学会でシリコン結晶の進化に関する座談会が行われました。結晶製造技術の開発、結晶評価技術の開発、デバイス製造技術の開発を長年行ってきた代表が集まり、苦労話などを語り合いました。私もデバイス製造技術の開発者として座談会に参加しました。この内容は、応用物理学会誌の2015年5月号に掲載されています。

私は1992年から2001年の間、三菱電機でシリコンLSI用の結晶技術開発を行っていました。その間、結晶に起因したトラブルが何度か発生しました。最大のトラブルは、COPと呼ばれるシリコン結晶中の欠陥でした。このCOPへの対策は、結晶メーカーとデバイスメーカーが協力して行いました。上記の座談会では、この時の経緯が生々しく語られています。

詳しい内容を記載することはしませんが、興味深いのは(原因が判れば当然なのですが)このトラブルが、全デバイスメーカー(メモリ製造メーカーのNEC、東芝、日立、富士通、三菱電機、サムソン電子)で同時に発生したことです。そして、対策(結晶の作り方)の方法がデバイスメーカー毎に違っていたことです。対策に対するいくつかの選択肢の中で、技術者(三菱電機の場合は私)の好みが現れた結果です。この対策は、私の約25年の会社人生の中でも3本の指に入る大きな出来事でした。

皆さんも就職して様々なトラブルに遭遇することがあるかと思います。そのような際は、全身全霊を傾けて対応してください。その時は大変ですが、後から振り返ると懐かしい思い出になるかもしれません。

シリコン結晶と板状に加工したウエハ(株式会社SUMCO殿提供) デバイスメーカーはウエハ上にデバイスを製造します。


:座談会の内容は、千葉工業大学2号館12階の研究室前に掲載してあります。

 

電情日記

どうやって研究の価値を評価するのか?
-獲得資金から真の論文評価への模索-

山崎 克巳

個々人の研究者や大学全体の研究を評価するは大変難しい事と言えます。今はすぐに役に立たず,利益に結び付くようなものでなくても,将来の革新的変化へと繋がってゆく研究も多いからです。しかし,何事もフィードバックがないと停滞を招くため,何らかの方法で研究の価値を数値化して表す必要がある事は否めません。

従来よく行われていたのは,獲得資金,つまりどれだけ多くの研究費を戴いたかで評価する事でした。しかし,実験で莫大な費用が必要な研究もあれば,理論の構築が中心でコンピュータさえあればよいという研究もあり,前々からこれは明らかにおかしいと思っていました。そもそも,研究成果が出るのは研究費を戴いた後であり,本末転倒とは正にこの事です。それに,研究に限らず,評価にお金が絡むとろくなことがありません。

このようなこともあってか,最近になって,世界的に研究者の成果をまとめたものである論文の価値を数値化しようという方向になってきました。

まず,1万誌近くの論文雑誌が,どれだけ多くの人が参考にしているかで格付けが行われています。具体的には,各論文が他の論文で参考文献として引用された回数(被引用数)の平均値であるインパクトファクターと呼ばれる数値が使われています。このように各論文雑誌のインパクトファクターが決まると,一つ一つの論文の価値を数値化する事ができます。まず,その論文が掲載された論文雑誌のインパクトファクターをベースとし,次にその論文を参考文献として引用している論文誌のインパクトファクターを加算して行きます。つまり,質の高い論文にどれだけ多く参考にされたかを数値化しようという訳です。この方法は,膨大な論文データを処理できるようになった情報技術の進展で可能になってきたと言えます。

もちろん,これにも問題点があります。まず,この情報を取り纏めているのが,米国のトムソン・ロイター社であり,基本的に英語で書かれた論文のデータのみが集計されます。このため,我が国の電気学会で120年以上に渡って出版されてきた日本語の論文は,極めて不利な状況になっています。また,最もインパクトファクターの高い論文雑誌であるNatureで,STAP細胞事件の様な事が起こり,疑問の声も上がっています。しかし,使う前にお金をどれだけ集めたかで評価するのに比べたら,遥かにましであると思えてなりません。

さて,各論文のインパクトファクター合計値を手軽に調べるのはまだなかなか難しいですが,例えばIEEE(米国電気電子学会)では,各論文の被引用数を,次のように簡単にインターネット(IEEE Xplore)で調べることができます。

(1)     http://ieeexplore.ieee.org/Xplore/guesthome.jsp?reload=trueに接続します。

(2)     興味のある分野の単語をキーワードとしてSearchボタンを押します。

(3)     Sort by “Most cited (By Papers)”で,表示された論文を被引用数順に並び替えます。

では,私の研究分野のキーワードの一つである,”Motor”で試してみましょう。(2015年5月22日時点)

まず,Searchボタンを押すと,83,893件の論文が出てきました。一番古い論文はなんと1884年,モータの原型が発明された直後の頃の論文です。まだIEEEや我が国の電気学会が創設される前の時代で,論文誌名は“Journal of the Society of Telegraph-Engineers and Electricians”。今は存在しない雑誌です。一方,今年掲載された論文は,まだ5月なのに1000件を超えています。

次に,Sort by “Most cited (By Papers)で並び替えると,第1位の論文は実に1929件もの論文で引用されています。また,第2位は我が国の難波江先生,高橋先生,赤木先生が1981年に発表された,モータのインバータ駆動に関する論文で,被引用数は1454件。大変誇らしく思います。

図1に検索した全論文の被引用数を纏めてみます。横軸も縦軸も対数目盛です。驚いた事に,全体の約半数の4万件の論文は,他の論文から引用された形跡が全くありませんでした。実は前述の一番古い論文もこれに含まれており,古いからたくさん引用されているという訳ではないことがわかります。逆に10件以上引用されている論文は約8600件と全体の1割程度,更に100件以上引用されている論文は前述の2件を含むたったの33件,全体の僅か0.04%です。これらの論文はもう,神論文としか言いようがありません。このような偏りには明らかに意味があり,論文1本の価値は皆同じというのには無理があるように思います。

さて,恥ずかしながら私の論文はというと....ありました,2006年に大学院生の瀬戸嘉朗君と一緒にIEEE Transactions on Industry Applications(米国電気電子学会産業応用部門論文誌)で発表した“Iron loss analysis of interior permanent-magnet synchronous motors –Variation of main loss factors due to driving condition”が,被引用数70件で歴代第74位になっていました。難波江先生らの論文には遠く及ばず,神論文には成れませんでしたが,そこそこ多くの人に読まれており,ホッとしました。これ以外の自分の論文も被引用数を調べてみると,自信のあった論文の被引用数が意外に少なかったり,逆に査読の段階で厳しい意見が付いていた論文が出版後に多く引用されていたりと,本当に世の中に役立つ研究はどのようなものであるかを深く考えさせられます。

このように各研究の価値を簡単に数値化できる時代になってきました。前述のように,現在の評価の仕方には様々な問題もありますが,今後も改善を重ねながらこの方向で進んでゆくものと思われます。行った研究を公明正大に評価して戴けることは有り難く思うと同時に,この情報をフィードバックして更に価値の高い研究を行うべく,身の引き締まる思いのする今日この頃です。

図1 IEEE XploreのMotor関連論文における被引用数による分類 (過去131年間分)

以上

電情日記

バレンシア訪問記

室 英夫

MEMS・センサの研究を行っている室です。今回は国際会議”IEEE SENSORS 2014”で訪問したスペインのバレンシアについてお話したいと思います。IEEE SENSORS はセンサのシステムや応用までも含むような裾野の広い国際会議で、今回がその第13回目で2014年11月2日~5日の4日間バレンシア(Valencia)で開催されました。”IEEE SENSORS 2014”が開催された会場は市西部の高層マンションやビルが建ち並んでいる新興地の中にある国際会議場”Palacio de Congresos”(写真1)で周囲には建設中のサッカー場もあり、活気にあふれた街の雰囲気を感じました。

バレンシアはスペイン東部バレンシア州の州都で人口約80万人のスペイン第3の地方都市です。地中海に面していて温暖な気候で晴れの日が年間約300日あるとのことです。市の中心部には中世に建設されたゴシック様式の大聖堂カテドラル(Catedral)やその近傍にあるミゲレテの塔(El Miguelete)、「絹の交易所」であった世界遺産のラ・ロンハ・デ・ラ・セダ(La Lonja de la Seda、写真2)などの歴史的建造物が多く有り、狭い道が古い建物の間を複雑に通り抜けるような大変入り組んだ構成となっています。旧市街の周囲には城壁の城門であったセラノスの塔(Torres de Serranos)があり、この上に登ると市街全体をい展望することができます。市の中心部を横断するように数kmにわたって緑地地帯であるトゥリア庭園(Jardines del Turia)が設けられています。これは氾濫したために流路を変更したトゥリア川の跡地で、中にはサイクリング・コースや遊園地、コンサート場(Palau de la Musica)など様々な施設が設けられています。

バレンシア空港から市街地へは地下鉄(metro)を使って約30分程度で行くことができます。バレンシア市内には4つの地下鉄路線と一つの路面電車路線が縦横に走っていて、市内のアクセスは大変便利です。切符は定期券サイズの紙のシートにICチップを埋め込んだICカードで一度購入すれば何度でも書き込んで使用できるタイプのものでした。中心部の南側にはスペイン国鉄renfe(Red Nacional de los Ferro-carriles Españoles)の駅Estación de Trenesがあり、他の都市から高速列車で来訪した参加者もいました。

またバレンシアはスペイン風のピラフであるパエリア(Paella)発祥の地でもあり、バルセロナとは一味違った風味を楽しむこともできました。全体としては比較的こじんまりとした街の中にいろいろなものが詰め込まれているような印象を受けました。皆さんも機会があったらぜひ訪れてみて下さい。

写真1 国際会議IEEE SENSORS2014が開催された会議場 ”Palacio de Congresos”

写真2 世界遺産のラ・ロンハ・デ・ラ・セダ “La Lonja de la Seda”

電情日記

役に立つ電情日記3 “言語”の勉強法について

中静 真

今回,電情日記を担当する中静です.これで3回目の執筆となります.早いもので,千葉工業大学に着任してから4年目となります.

今年の夏に,津田沼で実行委員長(General chair)として,国際ワークショップSISA2015(2015 International Workshop on Smart Info-Media Systems in Asia)を開催することになりました.この会議は,電子情報通信学会の研究専門委員会の一つが開催する会議です.

目的は,アジアの学生をエンカレッジすることで,学生主体でポスター講演を中心にした学学会です.チュートリアル講演にはMatlabなどのツールと,Raspberry PieやArduinoなどのマイコン応用への活用についての企画を予定しております.チュートリアル講演は,千葉工業大学に協賛して頂くことになっておりますので,千葉工業大学の教職員なら誰でも参加できるように計画しています.この文章をお読みの千葉工業大学の学生,教員の方は是非,ご参加下さい.

さて,当たり前のことですが,この会議で使用される言語は英語となります.実行委員長として気が重いのは,開催の挨拶や司会などをすべて英語でやらなければならないということです.技術論文のための英作文や学会発表の経験はありますが,開会の挨拶などでは,どうでもよいこと(誰も聞いていないこと,無くても良いこと?)を,ながながと話さなければならないわけで,今から心配しているところです.私の英語能力に関する話しはひとまず置いといて,私が,それなりの分量の英文を読むようになったきっかけについてお話しましょう.

私が大学に入学した80年代初頭は,パソコンの黎明期で,限られた人たちだけがプログラミングをしたり,ゲームをしたりする目的で,自分用のコンピュータを買ったり,作ったりしていた時代です.私自身は,パーツから組み立てたマイコンにOSを移植したり,台湾製のIBM-PC互換機でゲームをして遊んだりしておりました.これらのソフトウェアの購入は,すべて海外から個人輸入していました.理由は単純で,送料込みでも海外のソフトウェアが日本で売られているソフトウェアよりも圧倒的に安かったからです.また,海外では汎用OSが普及しており,機種依存の無いソフトウェアも豊富にあったため自作のコンピュータで走らせることができるソフトもたくさんありました.当然,日本語マニュアルなど存在していないため,英文を読まないと何もできない状態でした.例えば,図に示しているのは,Spectrum Holobyte社 (買収されて,さらに,買収した会社もHasbro社 – トランスフォーマーのおもちゃ会社です. – に吸収されています.) のFalcon 2.0というF-16戦闘機シミュレータですが,このゲームには200ページあまりのマニュアルが付属しており,エンジンのかけ方から,航空力学の基礎,兵装・レーダーなどの基本技術に関する説明を読まないと,まともに遊べないソフトウェアでした.こんなゲームで遊んでいるうちに,英語が得意になったとは思いませんが,“英語に慣れた”ような気はします.

現在,ゲームに限って考えれば,Steamなどゲーム配信サービスを利用すれば低コストで膨大な量の英語コンテンツが手に入ります.ゲームではなくても,とにかく自分の好きなことを見つけて,その必要性から英語に触れ,英語に慣れることが一番だと思います.

もう一つ,学生生活で学ばなければならない言語は,“プログラミング言語”です.一つのプログラミング言語を勉強しようと思った場合,解説書を買ってきて,そこに書いてあるサンプルプログラムを,パソコン上で実行させてみて..と始まると思います.根気の続く方は成功するかもしれませんが,私は途中で飽きます.だいたいの場合,何かコンピュータで実行したいことを見つけて,そのプログラムを作るために解説書を調べるようにしていました.学生の頃は,別冊日経サイエンスの書籍「コンピュータレクリエーション」シリーズから面白そうな計算のネタを見つけては,プログラムを書いてみたりしていました.新しいプログラミング言語を学ぶときは,とりあえずライフゲームを書いてみることが私自身の定番だったりしたこともあります.(まずエディタを書いてみると話していた友人もいました.)

いずれにしても,使わないと学べないことは,使うことが一番ですし,そのためには,使う状況を自分から作ってみる工夫も必要だと思います.そもそも,単位を気にしながら,ノルマのように勉強しても楽しくないでしょう. 本文が,学生の皆様の勉学の一助になれば幸いです.

Falcon 2.0のコクピット

サイエンス別冊コンピュータレクリエーション

電情日記

どこどこ行くの

陶 良

これからちょうど半世紀前、インテル社創業者の一人であるGordon E. Moore氏がElectronics Magazineに”Cramming more components onto integrated circuits”という論文を発表した。この論文は、今でも半導体業界で集積回路(IC)を評価する重要な1つの目標値とされている「Mooreの法則」のきっかけであった。

図1 マイクロプロセッサの集積度推移とムーアの法則

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/00/Transistor_Count_and_Moore%27s_Law_-_2011.svg

図1の縦軸は1枚のICチップに埋められるトランジスタの数であり、図中の直線は、Mooreの法則を示している。チップの種類にもよるが、最新のデータでは100億程度に昇っている。この数値を伸ばすには、チップの半導体基板のサイズをもっと大きくするか、トランジスタ素子のサイズをもっと小さくする必要がある。前者は半導体基板の無欠陥製造技術に制限され、最近では技術的に約30cm直径に成功し、後者は最小加工寸法(プロセス)がボトルネックで、最近では単原子サイズレベル(約200pm)のトランジスタが報道されている。しかし現在使われているICの最大集積度は、単にこの最大基板サイズと最小トランジスタサイズの割り算になっているわけではない。その理由としてICの実用機能や配線はもちろんのこと、集積度がこれまで高くなると、分布定数回路、消費電力、発熱など問題の顕著化によって、ICの性能は必ずしも集積度に比例するではないと指摘され、特に実用IC生産上のコスト・パフォーマンスへの配慮も含め、集積回路はどこまで行くか、Mooreの法則はいつまで適用できるか、懸念が始めているようだ。

筆者は半導体の専門家ではなくこれ以上議論できないので話頭を転じる。

図2は昨年8月に出版された本で、9月から始まった授業の教科書として使用した。内容は集積回路の細胞とも言えるトランジスタを中心とし、基本電子回路の解析に重きを置いた。我々は当該科目を講義して長年積んだ経験をもとに、まさにこの授業のためにまとめたものである。学生諸君は授業の後にも少し読んでもらえば講義内容の理解が深められると自負していたところ、期末でクラス全体の成績を集計してみると、教科書付きの初年次として例年とほとんど変化はなかった。おそらく教科書なしの教え方から、誘導読書(?)にもっと工夫するなど、授業のやり方を調整する試行錯誤が必要のようだ。

図2 2014年8月出版した電子回路の教科書

書名にある「力が身につく」との文言を改めて読んで、約2週間前の卒業式での感触が思い浮かぶ。研究室では12名の学部生、2名の大学院生はその時期に卒業・修了したけれど、皆さんは在学中どれだけ成長したのか、社会に出たらどこまでやり遂げるのか、諸君にめでたく祝いながら、一抹の不安を感じていた。

さて、いよいよ新学期の始まり。過去の悔いを改め、笑顔で2015年度の花を咲かそう。

 

電情日記

学生皆様の電情日記 (世界文化に技術で貢献する)

林  喬 久

電情日記を読んでいる学生はどれ程いるのでしょうか。

今回は電気電子情報工学科の学部生のなかで、私の講義及び卒研生について感じたことを紹介します。

先ず、各教室に掲げられている 建学の精神 と題して “世界文化に技術で貢献する” とあるのですが、特に 1,2年生の皆様 内容を理解して頂けましたでしょうか。

(1) ここで考えることは、 技術の前に人とのかかわりで重要なのが 先ず挨拶です。

(2) 講義については 学ぶことが基本ですが、ここで気になることが有るのです。情報化社会において活用する ipad mini が与えられていますが、これが都合の良いもので一部の学生は講義内容の板書を写真に撮ることで済ましてしまうのではないでしょうか、これは学ぶことに反して良くないと思います。自分の目と手を使って書くことが重要です。

(3) 演習の時間は自分で考え理論で学んだことを理解しながら解答することが必要です。後で解答するのを待っている人は情けないと思うのです。 更に予習、復習は単位認定に必要な時間でも有ります。シラバスをもう一度見て実行しましょう。

(4) 特にCクラス及び再履修クラスの場合、約10% の学生が講義は欠席、わずか出席の状況で、試験の時は出席して合格できると思う人がいることです。講義及び演習は日ごろの技術の訓練の場であり、“技術で貢献する” と言う内容には無理なのです。

(5) 3年前期中までに興味ある講義内容を選び、卒業研究に着手できることを願います。

(6) 研究として技術と向き合う時、GPA値が高い学生でも当てにならない。即ち、知識の暗記   再生の得意な学生は理解が欠けている可能性があります。実際に装置 測定系を見たとき学習したことが生かしきれないでいるので、その装置及び測定系と対話する時間を設ける必要があるのです。 ここで例えてお話しますと、初対面の人とすぐに友達として付き合うことができるでしょうか、やはりお互いに話し理解して納得するまでには時間がかかるのと同じだと思います。 装置は話できませんが、何かを表現して話しかけているのです。それを理解及び判断することが必要です。 少し時間がかかりますが理解することに意味があり重要だと思います。このように理解・判断するに要する時間は研究成果として遅れることとなってしまうのですが・・・・。

教育・研究で成り立つ大学において、院生の少ない現状と学部生の実社会へ進む割合の多い現実では、先ず “技術で貢献する” には思考力、判断力、表現力を育て身に付けておくことが重要であると考えられます。

私は退職して大学を去りますが、以上のことを再認識してもらい、ほんの少しでも電気電子情報工学科の実力が向上していけばよいと願っております。

約半世紀、長い間のお付き合いありがとうございました。

 

電情日記

5G

長 敬三

5Gとはなんだと思いますか?Gで始まる言葉を5つ並べたもの・・?これは“ごじー”とか “Five G”と呼び,”Fifth Generation”,第五世代移動通信システムのことです.現在無線通信の技術者の間で,大変熱い議論が交わされているトピックです.皆さんが普段使っているスマートフォンや携帯電話に用いられている通信システムは,今まで何回か更改されています.それぞれのシステムは世代(Generation)と呼ばれています.現在はLTEという無線通信規格を用いたシステムが用いられています.TVのCMでも流れていますので,皆さんの中にもLTEという言葉を聞いたことがある人がいると思います.LTEとはLong Term Evolution のことで,"2001年に開始された第三世代の移動通信システムを長い時間かけて進化して行こう",という意味が込められています.そのためこのシステムは第三世代の進化系であるとともに,第四世代にかなり近いということで3.9世代とも呼ばれています.

今年ぐらいからLTEを更に進化させたLTE-Advancedという無線通信規格に基づいた第4世代の移動通信システムが開始される予定です.LTE-Advancedでは規格の上では最大1秒間に30億個の信号(ビット)を送ることができます.2001年に開始された第三世代移動通信システムでは規格上1秒間に最大2百万個でした.2百万個も非常に多いと感じますが,30億という数字を聞くと驚きの一言です.

今月の頭に韓国のソウルで開催された国際会議に参加しましたが,この中でも4Gの次は何か,ということで5Gに関する議論(ディベートセッション)が行われました.5Gでは現在の光ケーブルと同程度の通信を無線通信で行うことが目標になっています.このような議論をすると,“そんなに高速の通信は必要なのか?”.“誰が使うのか?”という意見が必ず出てきます.今回のディベートセッションでは,壇上に私の知り合いの方がいて,“通信事業者に勤めていた君の意見はどうだ”,といきなり振られてしまいました.そのときにも話しましたが,2001年に導入された第三世代システムの研究開発のときにも同じ議論がありました.しかし実際に通信速度の速いシステムが導入されると,速い速度ならではのアプリケーションが登場し,更に速い速度が求められる,ということを歴史が証明しています.皆さんも一度速いスマートフォンを使ったら,元には戻れないですよね.ということで,そのような心配はいらないと思っています.

通信速度が速くなると,現在では考えられないようなリアリティのある映像や臨場感のある音響などを身の周りで体現できるようになるかもしれないですね.そのとき何をしたいか,今から考えてみるのも楽しそうです.30年前にバック・トゥ・ザ・フューチャーという映画が公開され大ヒットしましたが,そのとき未来として描かれたのが2015年,つまり今年です.私は当時この映画に夢中になった世代ですので大変感慨深いものがあります.映画の中で未来として描かれていた通信関連技術は結構現実のものになっています.皆さんも今から30年後の未来を想像し,その実現に携わってみてはどうでしょう.実現に携われる,というのは工学ならではです.技術者という仕事は楽しいですよ!

国際会議(iWAT2015)における5Gに関するディベートセッションにて

電情日記

待ち行列理論とは?

関 弘和

今回は高校生や世間一般の皆さんにはあまり知られていないであろう「待ち行列理論」というものを紹介します。知られていないといっても、誰もが「行列」というものには並んだことがあるはずですので、知らない間にこの待ち行列理論を体感していると言えるのです。

待ち行列は皆さんの生活のごく身近にたくさん存在しています。例えば自販機やATMの前にできる待ち行列、病院の診察における待ち行列、空港の滑走路における飛行機の離陸・着陸の待ち行列などです。最も身近なのはコンビニのレジにできる待ち行列でしょうか。またこの他にも、情報通信技術において、パケットと呼ばれるデータの単位が、ルータという中継装置においてある出口に集中したときにも待ち行列ができます。

このような待ち行列という現象を確率論を用いて解析し、例えば待ち時間や待ち行列の長さを減らすためにはどうすればいいかなどを考える理論を待ち行列理論と言います。下の図が待ち行列システムの様子です。「客」というのがまさにコンビニのレジに並ぶ客(その他のケースでいう、患者、飛行機など)であり、「窓口(サーバ)」がコンビニのレジ(その他のケースでいう診察部屋、滑走路など)となり、窓口の前に順番に並んでいるのが待ち行列です。ちなみにこの理論は100年以上も前に、デンマークのアーランという電話会社の設計技師によって開発されました(電話交換機と電話回線の設計をしていた)。

 

待ち行列理論の詳細については大学での講義や教科書などで勉強してもらえればと思いますが、ちなみに、ある意味でランダムに客が到着する確率過程を「ポアソン過程」と言い、時間tまでにn人が到着する確率は上図中の式で表されます。皆さんが何気なくコンビニに並んでいる行動が、実はこのポアソン分布に支配されている(!?)ということでしょうか。

今回紹介した待ち行列理論に限りませんが、数学という学問は意外に皆さんの生活に密着し、至る所に根付いているということがわかりますね。

皆さんもこれからいろいろな行列に並んで時間を持て余すことがあれば、この待ち行列理論のことをふと思い出してもらえれば良い時間潰しになると思います。

※今回の文章は「待ち行列理論の基礎と応用」(川島ほか、共立出版)等を参考にしました。

 

電情日記

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