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電情日記

自動車・携帯電話のサービスは日本から

長 敬三

今年の2月に金沢工業大学名誉教授の奥村善久先生が「世界初の自動車携帯(セルラー)電話ネットワーク、システムおよび標準規格に対する先駆的貢献」の業績で「チャールズ・スターク・ドレイパー賞」を受賞されました.この賞は工学の発展に貢献した人物に授与され,「工学分野のノーベル賞」とも呼ばれる賞です.日本人研究者の受賞は今回が初めてだそうです.この賞をこれまでどんな方が受賞されているかというと,集積回路の発明者のジャック・キルビー氏,GPS開発者のアイバン・ゲッティング氏,「パソコンの父」と呼ばれるアラン・ケイ氏,World Wide Webを考案したティム・バーナーズ・リー氏など,錚錚たる方々が受賞されています.

奥村先生は日本電信電話公社(現NTT)の電気通信研究所で移動無線研究室長などを務められ、1979年にサービスが開始された世界初の自動車携帯(セルラー)電話システムの実現に至る新方式を構想されるなど,自動車携帯電話ネットワーク/システムの基礎を構築されました.また奥村先生は移動通信の電波伝搬特性の解明において、移動通信システムで用いられる周波数で屋外送受信実験を様々な環境で繰り返し、100kmまでの範囲での受信電界強度曲線とサービスエリアを推定する手法を確立しました.この受信電界強度曲線は「奥村カーブ」と呼ばれるようになり,国際電気通信連合(ITU)の国際無線通信諮問委員会(CCIR)勧告としても採用されています.この「奥村カーブ」は現在においても世界中で移動通信および放送システムの設計に広く用いられています .

10月3日にIEEE APS(Antennas and Propagation Society) Japan Chapter主催で奥村先生の「チャールズ・スターク・ドレイパー賞」受賞の特別講演会が金沢大学サテライトキャンパスにおいて開催されました.

IEEE APS Japan Chapter特別講演会

ご講演では,数多ある開発秘話の一部のご紹介がありました.今でこそ移動通信は通信の花形ですが,当時はまだ基幹のネットワークの整備が最優先の時代で,移動通信の研究開発に対する社内外の理解は得られず,予算や人的資源の確保などは困難を極めたとのことです.また奥村カーブは4つの周波数における移動伝搬特性の測定結果よりなっていますが,4つの周波数を測定用に同時に取得するというのは今でも大変なことです.奥村先生も当時電波割当を管轄する逓信省(現在は総務省が管轄)へ何度も説明に足を運んだとのことでした.ご講演を聞いて感銘したことは,断られても必要だと信じることはあきらめずに何度でも再挑戦するという姿勢です.奥村先生曰く,何度も説明するとそのうち,積極的には許さないかもしれないが,Noとも言われなくなるとのこと.周波数も6回目でようやく獲得することができたそうです.その電波を使って得られた測定結果は「奥村カーブ」として移動通信システムの発展に多大な貢献をしました.先見の明と実行力を併せ持つことで実現できた偉大な業績だと思います.奥村先生のご尽力で開始された日本の移動通信システムですが,その後1993年に開始された第二世代の移動通信システム(PDCシステム)は世界屈指の周波数利用効率を実現し,第三世代の移動通信システム(W-CDMAシステム)は世界に先駆けて商用導入されるなど,日本の移動通信技術は世界の最先端を走っています.移動通信をはじめ,これからの社会の発展に我々がどれだけ貢献できるのか.それは信じる力とチャレンジ精神,実行力が大事になると思います.千葉工大生もぜひ技術と実行力を併せ持つ技術者になるよう頑張りましょう!! 

電情日記

納得する文章

杉浦 修

今回も小原先生のお話を読んで刺激を受けた内容です。「オーストラリアから届いたプレゼント」のなかで小原先生がアドバイスされている「①ジーンズの後ろポケットに財布を入れておくときは気を付けましょう。」は金言です。私も思い当たる節がいくつかあります。国内ですが学会帰りの飛行機で定期入れを落とし,「スギウラオサム様の定期入れがカウンターに届いております。」と到着ロビーに大々的にアナウンスされた経験があります。失敗談だけではありません。アメリカの学会はフランクな服装で参加してOKです。私の前の席に,ジーンズだったと思いますが,後ろポケットに無骨で分厚い財布を突っ込んでいた人が座っていました。午前中のセッションが終わり,その人が立ち上がったその瞬間,財布がポロッとポケットから出て,椅子の上に置き去りになりました。「あの財布はあなたのものではありませんか?」と声をかけたらにっこり笑って感謝の意を表してくれました。

さて,本題です。私は小原先生の電情日記を読んで「そうだよ!そうなんだよね!」と大いに納得しました。そうした納得感はどこから生まれるのかと考えると,第1に小原先生が体験をもとに執筆されていること,第2に私にも似たような体験があったからだと思います。本を読んで「なるほど!」と納得できるのも,本に書かれている内容と今までの自分の経験が矛盾なくつながったときです。どちらの体験・経験が欠けても納得感は相当弱くなるでしょう。一口に「読書」と言っても様々なレベルがあることが「旅とガイドブック」になぞらえてみると分かってもらえると思います。ガイドブックを参考に「支度をして旅に出発する」,「旅先で色々な風景・風物を見聞する」,「旅からか帰ってみやげ話(あるいは出張報告)をする」,これらを「その本の著者の言うとおりに論理展開をフォローする」,「著者の主張する結論に到達するか,論理に矛盾はないか確認する」,「本の要点(あるいは読書感想文)をまとめる」,という具合に対応させます。旅は一人旅からツアー旅行まで様々ですが,自分の目と耳で見聞きすれば,臨場感あふれるみやげ話ができるでしょう。しかし,その場所に行っても何も見ないで帰ってきたら,つまらない話しかできないでしょうね。ましてや,ガイドブックを読むだけで旅をしなければ何をか言わんやです。(これではカラ出張です。)みやげ話に色々なレベルがあるように,読書後の修得レベルは,何が書いてあったのか自分の言葉できちんと説明できるレベルや,他人の言葉をそのまま流用して説明したように見せかけるレベルなど様々です。その本から何かを学び取るためには,しっかり見聞しながら旅をする,それに匹敵する取り組みが必要です。そうした体験をもとに文章を書けば「納得する文章」になると思います。(講義も納得して聞いてもらえると思います。)要は自分の体験,自分の考えを盛り込むことがキーポイントではないでしょうか?当たり前のことですが学生のレポートを読むと忘れがちなことのように感じます。就活のエントリーシートにも通じるように思います。

旅行ガイドブックの一例です。私も初めてアメリカに行った時にお世話になりました。そう言えば大学の学術訪中団で香港に行った時,ガイドさんが「日本人はみんな地球の歩き方を持っていますね」と半分驚き,半分あきれたように話していました。マニュアル頼りのように思われたのかもしれません。しかし,多くの旅行者の体験談は大変参考になります。ですから頼りにされるのでしょう。学生が先輩のもっている講義の過去問や履修上のアドバイスを頼りにするのも同じですね。

電情日記

オーストラリアから届いた誕生プレゼント

小原 和博

今回も思い出話です。私は1992年2月に国際会議の論文発表でキャンベラ(オーストラリアの首府)に行きました。国際会議では多くの参加者と交流しました。会議が終わりキャンベラ空港でシドニー行きの飛行機を待っているとき、会議で知り合ったオーストラリアの研究者と再会しました。シドニー空港に着いたあと名刺を渡そうとしたときです。ポケットにあるはずの財布がありません! 出てきたばかりの飛行機内に急いで戻り座席を捜しましたがありません。いつどこでなくなったのか? 財布の最後の記憶はタクシーを降りたときだったので、空港に向かうタクシー内ではないかと思い、会社名を思い出して電話しましたが見つかりません。とりあえず自宅に国際電話し、財布の中にあったクレジットカードの使用停止を頼みました。財布とカバンに現金を分けていたので難なく帰国できました。

オーストラリアの研究者からメールが届きました。「あのときはアデレードへの乗継で急いでいました。財布はみつかりましたか?」「あの財布はオーストラリアが気に入ったみたいで、まだオーストラリアにいるよ」と返事しました。それから1か月余り経った3月の私の誕生日の出来事です。当時勤務していたNTT研究所の自席に着くと、机の上に航空便が届いています。差出人はオーストラリアの日本大使館です。すぐに中身がわかりました。私の歓声に気付いた若い人たちが見守るなか、開封してみると正に紛失した財布が無傷で出てきました。渡すはずの名刺が役立ちました。キャンベラ空港のベンチに座っている間に、財布がジーンズの後ろポケットからずれ落ち、それを誰かが見つけ、英語の名刺が入っていたので日本大使館に送り届けたようです。大使館員は私がキャンベラに到着したばかりだと思い、ずっと連絡を待っていたとのことでした。すぐにオーストラリアの研究者に知らせると「なんて素晴らしい誕生日なんだ。本当におめでとう!」というメッセージが届きました。

ここまででも十分いい思い出なのですが、この話には続きがあります。その年の5月頃にNTTトラベル主催の「旅に関する懸賞論文」という社内の新企画が発表されました。「オーストラリアから届いた誕生プレゼント」と題して応募したところ30倍の難関を突破して当選しました(約300人応募、10人当選)。賞品はハワイ旅行。家族3人分は自腹でしたが楽しい思い出になりました。21年前の自慢話で誠に恐縮です。笑ってください。

最後に皆さんにアドバイスします。①ジーンズの後ろポケットに財布を入れておくときは気を付けましょう。②財布には英語で連絡先を書いたメモを入れておきましょう。③海外旅行中は現金を分散しておきましょう。④クレジットカードの番号は控えておきましょう。以上、お役に立てば幸いです。

オーストラリアの国会議事堂。1992年2月、真夏のキャンベラで撮影。

電情日記

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