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電情日記

空はなぜ青い

野口 和夫

主な研究が大気のエアロゾルに関する測定を行っていることで、空を見上げることが多い。そんなことで思い出すのが「空はなぜ青いのでしょう」という質問である。この質問はよく子供向けにされるが、これに関する説明は結構難しくて大学生が勉強するのにも格好のテーマだと思う。これに関する話題を歴史上から集めると古代ギリシャから現代まで有名な学者の名前が出てくる。雪国において長い冬の間に数回すばらしく晴れ渡った日がある。このときの空の青さといったら住んでいる人でなかったらわからないであろう。日本においては青というのは青春、青雲・・など決して陰鬱なイメージはないが、西洋ではそうではないようだ。青い色は不気味な感覚を起こさせると考えられていた。

ところで理由を考えるにはその前になぜかという疑問を提示しなければならない。アリストテレスは「気象論」で風、雨、雷、虹などの気象に関することには興味を示していたが空の色については感心がなかった。空の色を問題にしたのは歴史上アリストテレスの「色について」(実際には弟子の著作という)である。ここでは空気と空気以外のものの相互作用とに原因を求めていた。また同じく暗黒とはどんな状態かも取り上げている。
アリストテレス等の考えは「空気と光との相互作用」という考えに近い。

原子論者のレウキッポスは雲の変化や雷が落ちるのを不思議に思っていたにもかかわらず空の青さについては記述してない。
西暦400年頃、中国では太陽の色は朝夕は赤に、昼は白っぽく見えるのはなぜかと疑問に思っていた。このとき大気の層という概念に到達していた。

イスラムの世界ではキンディーが地球を取り巻く大気には大地の粒子が混じりこんでいて、これが星や大地からの光と作用し青色になると考えた。すなわち空そのものの色ではなく、ただ青く見えるだけという視覚の作用と考えた。

10世紀イブン・アル=ハイサム(アルハーゼン)は「光学の書」を著した。ここでは反射とか屈折の現象について詳しく述べられてある。また壁に小さな穴を開け太陽光を導き入れ太陽の像を映し出した。これはその後のヨーロッパでカメラ・オプスキュラとして知られる。海の色はただ空の色を映しているだけに過ぎないと述べている。キンディーと同じく「空気中には霞や煙のような固形物それにより色が現れる」と考えた。ただこの固形物は蒸発物を考えていた。13世紀「光学の書」は翻訳されてヨーロッパに伝えられた。

ロジャー・ベーコンの著作「大著作」があり、これは自然科学についてのベーコンの考えを述べたものである。ここで海や湖と比較して空について考察している部分もある。リストーロ・ダレッツォの著書「世界の成り立ちについて」(1282年)を著し、日食の始まりから終わりまでの時間を正確に測定しただけでなく、空の色の変化にも注目した。このことが「青色は空気中の蒸発物によること」を否定することになった。これから200年程後、レオナルド・ダ・ヴィンチに始まりケプラー、ガリレオ、デカルト、ニュートン、オイラー、ケプラー、ゲーテ、ハーシェル、チンダル、ファラデー、マクスウェル、レイリー、ヤング、プランク、ケルビンなど歴史上に輝く名前が出てくる。

子供でも発する疑問が解明されるのにこれだけ多くの人々の考察が必要であったとは驚嘆に値する。後半の話はまたの機会とする。


図.1

図.2

 

図1、図2ともに人間の目には同じ白色に見える紙に、波長405nmの青色半導体レーザーを照射したときの写真である。紙に含まれる成分の違いがこのような色の違いとして現れる。比較的最近までは青色半導体は非常に高価で入手困難であったが、近年はこのようなちょっとした計測用の光源としても利用できるようになった。

電情日記

人を見守るテクノロジー

関 弘和

今回は電気電子情報工学の応用技術の一つとして、「人を見守るテクノロジー」について紹介したいと思います。

平成23年時点で、日本は65歳以上の高齢者人口が全体の23.3%を超える超高齢社会を迎えており(厚生労働省人口動態統計)、また2035年には3人に1人以上が高齢者となるとも言われています(国立社会保障・人口問題研究所)。このような背景のもと最近よく耳にするのが、一人暮らしの人が住居内で病気や事故などにより亡くなる「孤独死」という問題で、場合によっては数日経ってから見つかるという大変悲しいニュースも多くなっています。高齢者の場合は、例えば脳卒中や心筋梗塞などの急病のみならず、段差での転倒や浴槽での溺死、食べ物による窒息など、若い人には想像しにくい様々な危険があるのです。東京都監察医務院の統計では、平成20年に自宅で死亡した65歳以上の高齢者は東京23区内だけでも2000人を超えるという結果が出ています。またニッセイ基礎研究所は、「自宅で死亡し、発見まで2日以上経過」と定義した場合の、孤独死の推計値を2万6821人と2011年に公表しています。さらに最近では、家族で暮らしているにもかかわらず病気等で相次いで亡くなる「孤立死」(という言葉が多く使われます)も増えています。

このような問題に対し、電気電子情報工学に関する技術をベースとして、高齢者をセンサ等で見守り、何かの異常があればいち早く検出して通報する「モニタリングシステム」の開発は重要で、いくつか実用化され市販されているものがあります。例えば、象印マホービン株式会社の「みまもりほっとラインi-POT」(http://www.mimamori.net/index.html)は、いわゆるお湯を沸かすポットですが、使用者が電源を入れたり給湯したりするたびにその情報がサーバに無線で発信され、家族などにメールでその使用状況が送信されるというシステムです。お年寄りはおそらく1年を通してポットを使うことが多いでしょうから、日常の様子を見守る意味で有効だと考えられます。

株式会社トーヨーアクアテックの「見守りトーヨーくん」(http://www.sabi.jp/sensor.htm)はトイレの水の流れをセンサで感知し、長時間その反応がなければ通報するというシステムです。また、株式会社エー・エス・ブレインズ「An・pi君」(http://www.asbrains.co.jp/BBeekaigo1.html)は、玄関、通路、居間、トイレなどにセンサを設置し、やや詳しく状況を把握し安否を確認するシステムです。
私の研究室でも同様の問題意識をもっており、全方位カメラやその他のセンサを用いて行動情報を読み取り、例えば倒れたとか動かなくなったなどの異常行動を早期に(1分以内など)に検出するシステムの研究を行っています。

下の図は全方位カメラで撮影された画像から、動きの情報(オプティカルフロー)を抽出して表示したものです。黄色や黄緑で表示されている部分は大きな動きが出ているとわかります。つまりこの情報から、人の位置、姿勢、動きの大きさなど様々な様子が読み取れ、普段と異なるパターンを検出することが可能となります。

もちろん家族と共に暮らすとか、訪問介護サービスなど、人の手で見守るのが理想ではありますが、様々な事情でそれが難しいときに、電気電子情報工学をベースとした「人を見守るテクノジー」がその手助けをし、人と人をつなぐ役目を果たす可能性があるのだと思います。

電情日記

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