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電情日記

1+1=2の証明

水津 光司

多くの学生さんが、大学に入ってからの講義を難しいと感じているかもしれません。特に、高校に比べて数式が難しいと感じているのでは無いでしょうか。そこで、数学と物理・工学の違いについて、私が勝手に思っている事を書きたいと思います。これらは同じ理系の枠に括られていますし、物理は数学によって記述されているので、同じように思うかもしれません。しかし、根っ子のところは実は随分違います。

最初に出会う算数が1+1=2です。小学校1年生で習います。その後、1+1=2が基本になって、もっと大きな数の足し算、引き算、かけ算、割り算と進んでいきます。でも本当に1+1が2なのかと言うと、数学的には深遠な問題です。この問題に関しては、1900年代初頭に出版されたPrincipia Mathematica という本で証明が行われています。1+1=2が成り立つ、という所に至るまでに、実に300ページ以上が費やされています。笑い話として有名です。一方、物理や工学で1+1=2の証明から行う事はありません。物理や工学の目的は、自然の諸法則を明らかにしたり、新しい現象を見出したり、新たな機能を開発する事です。極論を言えば、1+1=2が成り立つかどうかで悩んでいたら、かけ算にすら到達できず、本来の目的である発見や発明にたどり着きません。そこには拘らず1+1=2をあくまでツールとして使う学問が物理や工学です。

Principia Mathematicaで1+1=2の証明に辿り着いたページ。
これが分からなくても足し算はできます。

もう一つ例を出します。同じような話がフーリエ解析です。今から約200年前、フランスの数学者・物理学者フーリエが熱伝導現象を理解するため、熱伝導方程式を導き、その解析のためにフーリエ級数を編み出しました。熱伝導方程式は2階の偏微分方程式の形になります。これを解くには少し手間がかかります。ここで、両端の温度が一定である等の、特定の状況を想定した、境界条件を考えます。この条件下では、両端の状態が固定されているので、熱伝導の振る舞いは、ある限定された空間内での現象になります。つまり周期的になるはずです。この観点から、フーリエは周波数解析の手法を編み出し、様々な条件下での熱伝導の振る舞いを解析しました。このフーリエ解析の手法は熱伝導の問題だけでなく、波動方程式をはじめ様々な問題に応用できます。ところが、最初にフーリエがこの解析法を論文として提出した時、定理が非常に曖昧で、厳密な証明すらされていませんでした。この為、審査員であったラグランジュやラプラスによって論文は却下されました。フーリエ自身は、フーリエ解析の数学的な厳密さには拘って無かったようです。それよりも、ツールとしての威力の方に重点を置いていました。考え方としては物理寄りです。数年後、加筆訂正された二回目の論文でもやはり数学的厳密性が問題視されましたが、重要性が認められ受賞しています。このように、フーリエ解析は生まれた時点から、数学としてのフーリエ解析、物理・工学としてのフーリエ解析という形で溝がありました。厳密な意味でのフーリエ変換の証明が終わったのが1966年、フーリエの提案から実に150年を経ての事だそうです。それまで、数学者はフーリエ解析の厳密さに拘り、関数論を発展させ、積分の定義を厳密化し、論理的な穴が無いようにフーリエ解析そのものを解析して行きました。一方、物理学者や工学者は、数学的な厳密さには目を瞑り、フーリエ解析を純粋なツールとして利用し、様々な問題にフーリエ解析を適用して物理・工学を発展させて行きました。このように、物理学は数学的な厳密さにあまりこだわらない傾向があります。そもそも、教科書に載っている物理の公式の多くが近似式です。
結局何が言いたいかというと、数学の部分で躊躇して物理や工学が分からなくなる事は、非常にもったいない、という事です。物理や工学の教科書に出て来る数式の多くは、その数式で表現したい現象がまずあって、そこに使える数式を持って来ています。つまり、多くの場合は数学者が作り上げた数学理論を拝借して来ます。もしくは、何らかの根拠に寄って式を導出した後は、大抵の場合は既に数学者が解を求めてくれているので、それを拝借します。私が学生の頃は「数学公式」という3部からなる公式集が研究室に置いてあって、やっかいな微分・積分や級数展開などは、その本で解を探して使っていました。最近は、もっと時代が進んでMathematicaなどのソフトウェアが解いてくれますし、解が出ない場合も数値計算で数値解は求まります。

数学と公式とは別物と考えて、数学の部分で表現されている「中身」を気にしてください。数式自体の導出で躓くよりは、まずは適当に変数を限定して、パソコンに図を書かせてみましょう。そうすると、数学の部分が意味している内容が可視化されます。その数式自体の振る舞いです。そして、その図がまさに、理論の出発点である仮説や実験結果等であったわけです。もちろん導出の過程まで理解できればベストですが、そこが分からないからと言って式の振る舞いまで分からなくなってしまうと本末転倒です。数式を使って表現されている現象の方に目を向けてその数式の振る舞いが分かれば、理論の根っ子の部分は分かったと思って大丈夫ですし、少なくとも使える状態にはなるはずです。最近はコンピュータが進歩しているので、まずはパソコンに図を描かせる、これだけで随分理解度が変わって来ると思います。行き詰った時は、是非試してみてください。

電情日記

クラス担任として就職活動支援をして思ったこと

今野 将

電気電子情報工学科では,1年の時から専門教員(千葉工業大学の教員には,一般教養科目を担当する教育センターの教員と,専門科目を担当する学科の教員がいて,後者を専門教員と呼ぶ時があります)3名をクラス担任(1年・2年のうちは担任補,3年から正式にクラス担任)として配置され,以後4年間学生の面倒を見ることになります.主な作業はガイダンス時の指示をまとめたり,学年全体に関わる行事や活動などをまとめたりします.私も4年前に1年生の担任補となり,今年度は4年生のクラス担任として,就職活動や卒論関連の取りまとめなどをしていました.特に就職活動支援を始めると,企業の人事担当の方とも話す機会が増えて,私自身色々と勉強する事がありました.就職活動支援そのものに関することは,その年年で色々と変わることもあるので,この場で細かく言うことは良くないのかもしれませんが,これから就職活動をするかもしれない人がこの文章を読んだ時に少しでも力になれればいいかと思い,少しだけ書いておこうかと思います.

まず,人事担当の方と話していて思うのは,重要なのはコミュニケーション能力だということでしょうか.しかも,これは「持っていて当たり前」と認識されていることです.よく学生が「私の長所はコミュニケーション能力が高いところです」というらしいですが,本当に長所かどうかは面接をすればわかることなので,別の所をアピールした方が,より深く自分のことを知ってもらえるので,他をアピールしましょう.また,志望動機や自己PRなど色々と文章を書く機会が多いですが,全てにおいて一本芯を通しておきましょう.できればひとつのエピソードが全ての話につながるのがいいでしょう.短時間で自分をアピールするためには,話があっちこっちに飛んでしまうと,面接官の方も理解できなくなります.ちなみに,この手の話をすると「自分にはエピソードがなくって・・・」と言う学生が多くいますが,そういう場合は,しっかりと自己分析をして,今の自分を作り上げた要素やそれが備わったきっかけをエピソードとして昇華させていけばいいのです.こういう作業は,一人でやっているとなかなかいいアイデアが浮かばないので,出来れば指導教員や就職担当の方に相談するのがいいかと思います.少なくとも,社会人経験がある方に相談するのがいいでしょう.学生同士でごちゃごちゃやっても余り意味はありません.

学内合同企業説明の様子

次に思うのは,人事の方は一生懸命その学生のいいところを引き出してあげたいと思っていることでしょうか.多くの人事担当の方が,入社試験はいわゆる知識量をはかる一般的な試験とは違って「一緒に働きたい人を選別し採用するための試験」だと言われていました.そのため,面接などでは,提出されている書類(自己PRや志望動機)から,その学生の良い面を探しだすために色々と質問をしているのだそうです(中には違う人もいるそうですが,多くの面接官はそう思っているのではないでしょうか).ですので,自己PRや志望動機には,わかりやすい表現や一貫した内容が必要になるのだそうです.さらには,そこに書いてあることのバックグラウンドに関する話も必要になってくるということです.バックグラウンドがしっかりとしていると,面接官の人の話にもしっかりと対応することができます.実際に私も何名かの学生の自己PRや志望動機を見ていると,書いてある文章は立派なのですが,それだけで満足してしまって,文章の背景まできにしている人が少ないかなという印象を持ちました.これに関しても,どういった話のふくらませ方があるのかというのも含めて,しっかりと相談することが望ましいでしょう.

最後に思うのは,せっかく周りにサポートするための準備がされているのに,使おうとする学生が殆どいないということでしょうか.大学には就職課もありますし,指導教員も相談に乗ってくれます.なのに,多くの学生が自分一人で,もしくは同じ就活生の仲間同士で相談するだけで,色々と終わらせようとしています.もちろん,それでどうにかなる人もいるでしょうが,ほんの一握りでしかありません.特に今の時代,インターネットを介してネガティブな情報だけは非常に簡単に集まってしまいます.また,派手なイベントや派手なWebサイトが提供する派手な情報にばかり目が向きがちです.自分一人や仲間同士でやっていると,それらの情報の真偽判定などが出来ず,情報に振り回される結果になりかねません.正しい情報を得るスキルを磨くのもいいですが,周りに正しい情報を与えてくれる環境があるのですからそちらを有効活用するほうがコストパフォーマンスは良いのではないでしょうか.

なんだか,電情日記にふさわしい話題ではないのかもしれませんが,一度何処かに書いておきたかったのと,備忘録的な意味も含めて書かせて頂きました.

就職活動用参考書(研究室所蔵の一部)

電情日記

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