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電情日記

世紀を超えて

小園 茂

「ロミオとジュリエット」のバルコニーの名場面で(抄訳),

O Romeo, Romeo, wherefore art(are) thou(you) Romeo? ——
私の敵はあなたの名前だけ.—–
O be some other name! —–
What’s in a name?
薔薇は薔薇と呼ばなくとも,美しく甘い香りがするじゃない.Romeoも同じよ.—–.

と,両家と世相が二人を相容れない悲劇的な状況の中で,若いジュリエットのひたすらな独白である.時はルネサンス時代の16世紀末.

この戯曲の場面は実に奥深いものを感じさせる.この場面は,現代社会の“価値感”の源泉にも通じてはいないだろうか? 人を人間として目覚めさせ成長させる若い時の恋は, 唯ひたすらで実に美しい.恋に落ちたジュリエットの心情が描写された,人生で尊く貴重な瞬間だ.この瞬間が人の成長を促し新たな人生への一歩にもなる.自己と時間を忘れさせ唯ひたすらに追い求めるものがそこにある.真と美の発見である.

しかし,若者は恋ばかりには生きられない.これから自立し現実社会に生きて行かねばならぬ.現実社会には予期できぬ,多くの困難が横たわり,迷いの日々が続く.時には自己を失い,途方に暮れる.その時,心の何処かで支えとなり,安らぎとなるものを求め探し続ける.人生とは何だろうか? 何を信じたらいいのか? 何が真実か?と.

この時,ふと蘇ってくるのがあの若い時の貴重な体験で「唯ひたすらな自分にしてくれたものは,何だったのか? 今もこの世に存在するのか?」と.あのWhat’s in a name? そして薔薇は何処にあるのかと.

悩み苦しみ,そして学習し経験を経て,あの薔薇のもつ本質と真に気づき,人生の本質を見出す人もいよう.この蘇った薔薇の色と香りはその人の個性となり,また価値観の基にもなるであろう.

私は読んだことがある「文学には進歩という言葉はない」と.この「ロミオとジュリエット」は16世紀末のシェイクスピアの作品である.文学が人の心を描写するものならば,この蘇った薔薇への心情は,世紀を超えて人の心は変わらぬことを示唆しているのではないか? それならこの薔薇への心情は,自然界の真理と等価な価値があるものになる.

URL: http://www.kozono.it-chiba.ac.jp/

電情日記

ケータイからスマホへ

久保田 稔

携帯電話機は今や,生活や仕事においてかかせないものになっています.1999年にiモードのサービスが開始され,インターネットとの接続が簡単にできるようになるとともに,携帯電話機に様々な機能が追加されてきました.主たる機能であった電話機能は,たくさんある機能の一つになってしまい,単にケータイと呼ばれるようになっています.最近は,スマートフォンの普及が急速に進んでいます.スマートフォンに含まれる”フォン”はテレフォン(電話)に由来し電話機能を意味していますが,こちらもスマホと略称されて,電話機の意味が薄れています.

スマートフォンは携帯電話機というより高機能の携帯コンピュータといってよいでしょう.コンピュータ(computer)も,計算するものという意味でしたが,計算だけでなく様々なデータの処理(検索や分類等)に使われています.ちなみフランス語ではコンピュータのことをordinateurといいます.これはラテン語で整えるものという意味をもつ” ordinator”から派生しているようです.情報を整理するために使うという意味になるでしょうか.スマートフォンを使うことで,いつでもどこでも,様々な情報を入手し,発信することができるようになりました.ちなみに,我々の研究室では,スマートフォンを活用するサービスの研究を行なっています.

スマートフォンやPCを活用することで作業を効率的にできるようになりました.一方で音楽やビデオの再生,ゲーム等に娯楽のために使うことも多くなっています.ちょっとした気分転換等に使うのはいいですが,時間つぶしのためにだけ長時間を費やすのは,もったいない気がします.逆に時間を有効に活用するために使ってほしいですね.

スマートフォンにはハードウェアとソフトウェアで最先端の技術が使われています.極めて小さくかつ高機能な電子部品が使われています.高性能マイクロプロセッサや,大容量になったメモリ,解像度の高いディスプレイ,無線通信を行うためのデバイスや小型のアンテナ,等です.一方,高度なソフトウェアを組み込むことで,機能が向上し,操作法の使い勝手が向上しています.電気電子情報工学科ではスマートフォンに必要となる技術の多くを教えています.

最近は,エンジニアを目指す電気電子情報工学科の学生でも,スマートフォンやPCの操作法は熟知していても,その内部の技術の詳細については知らないことが多いようです.しかし本当に使いこなすためには内部の技術も知っておく必要があるのではないでしょうか.さらにエンジニアには新しいアイデアや技術を生み出すことが求められます.このためには様々な技術を理解しておく必要があります.スマートフォンやPCを使うだけでなく,その内部の技術についても興味をもって深く勉強してほしいものです.

電情日記

ここはどこ?

岡本 良夫

最近ではGPSも身近になり,スマートフォンのナビゲーション機能を利用する人も多いことでしょう.初めての街であっても,目的の会場を見つけられずにウロウロすることなどは昔話になってしまいました.とは言え,地下街や鉄筋のビルの中ではGPSの電波が届かず,満足にナビゲートできない場合もあります.こうした不便を解消するため,国土地理院では全国の津々浦々に約3mの間隔で東西・南北・上下方向に「位置情報点」を設定し,そこに「場所情報コード」を書き込むことを計画しています.東西・南北方向の位置は「世界測地系」における経度や緯度として0.1秒角単位で表します.1秒角は1度の1/3600を意味し,0.1秒角は南北方向では約3.1m,東西方向では東京近辺で約2.5mに相当します.また,高さ方向は建造物の階数として表します.こうした位置情報を64ビットに収め,これに「ユビキタスIDセンター」から割り当てられた64ビットを付加して128ビットのucodeを作ります.このucode (場所情報コード)をICタグに記録して建物の壁などに埋め込むのです.スマートフォンを持って歩けば,最寄りのICタグから位置情報が順次に読み込まれて行く寸法です.更に,インターネットを介してucodeを管理サーバに送れば,関連情報(より詳細な位置情報,その建物や場所の名称,属性,関連URLなど)が入手できます.こうして,障碍者が自力で移動できる環境を提供したり,災害時の避難経路を提示したり,交通情報とセットにして観光情報を提供したりと,様々な活用が期待されます.

ところで,ICタグを埋め込むべき位置情報点の緯度,経度,高度はどのように決定するのでしょうか.屋外であればGPSを使って簡単に,しかも高精度(cm単位)に位置が決まります.しかし,建造物の内部ではそうは行きません.三角測量を繰り返す昔ながらの方法では手間と時間が掛かりますので,私達は「慣性測量法」の利用を提案しています.前回(2011年3月)の電情日記「重力との戦い」でも紹介しましたが,慣性測量法とは「加速度を2回積分すれば位置の変化量が求まる」ことを原理とする測量法です.建造物の入り口に設定した基準点の位置はGPSで簡単に決定できますし,その基準点から目的とする点まで装置を移動するだけで位置が決まりますので,非常に効率的です.慣性測量法の最大の欠点は,時間の経過と共に位置決め精度が加速度的に悪化することでしたが,建造物の入り口から位置情報点までの距離は高々100m程度に過ぎず,移動時間も数分以下ですから,誤差を0.5m程度に抑えることはそれほど困難ではありません.日本全国には膨大な数のICタグが配置されるでしょう.その一つひとつが慣性測量法で位置決めされるのだとすれば,慣性測量法の研究にも自然と力が入ります.

補足:聞き慣れない用語がたくさん出てきました.「世界測地系」,「ユビキタスIDセンター」,「ICタグ」,「ucode」など,本文中では説明しきれませんでしたが,インターネットで検索すれば詳細な説明が見つかります.試してみて下さい.

電情日記

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