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電情日記

逆問題と発想転換

陶 良

3.11から100日近く経ちまして、多くの方々がまだ避難生活を続けていらっしゃると推察いたし、被災地の皆様の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

数日前、Geo5社の方から協力をいただき、我々が研究している弾性波を用いた地中埋設物の三次元映像化に関して、地中レーダとの比較実験を行いました。ここで、この研究をトリガーにして2,3雑感を述べます。

このテーマは、基本原理として医学分野の超音波画像診断と同様で、調べたい領域に超音波を放射して、周囲媒質と音響特性の異なる異物体(病変組織や埋設物など)からの反射波を空間位置の異なる複数のセンサーより受信し、これらの受信信号を処理することで異物体を映像化するものです。研究背景、地中探査の特殊性および我々提案した方法の特徴などについては、2008年1月10日本岡誠一教授の日記【聞くことを目的としない音で、見えない物を】に述べられておりますので、ここで割愛します。近年の進捗状況を略記すると、2009年度から科研費を獲得してから実行最終年度の現在まで、実験用モデル砂槽を作り直し、映像化方法の横方向探査能力と適切な受波器アレーの配置方法などについて検討を重ね、少しずつ研究を進めているところです。

振り返りますと私は学生時代から超音波映像化の研究に取り組んで、学位論文にも卒業直後に指導先生と共著した本にも「逆問題」と言うキーワードをしばしば使いました。ウィキペディアではこの言葉をきれいに解説し、その応用分野のリストに「非破壊検査:超音波探査、CTスキャン」が堂々トップにされています。この分野の話で簡単に言いますと、物を知ってそれを通した音波を求めるのが順問題、知らない物を通した音波より物を求めるのが逆問題となります。

時間軸をもっと遡ります。CT技術の理論元祖でもある数学上の逆問題として、知らない2次元分布の各角度方向の線上積分値より元の2次元分布関数を求める問題は、1917年にラドン氏より解決されました。半世紀後、1967年にハウンズフィールド氏は数学、放射線物理学、コンピュータ技術、医療診断技術など多岐にわたる科学技術を上手くコラボレートして実用X線CT機を発明し、1979年に見事ノーベル医学生理学賞を受賞しました。一つの目標に向かって、多面的に思考し、新しいアイディアを生み出す発想転換の成功例として、私が超音波関係の授業中でも学生たちに紹介しています。

発想の転換、近年大流行となってきた感のあるこの言葉、解釈が色々あるようですが、私の気に入りは、「Think from different angles」です。科学技術による文明の発展とそれに伴う諸世界問題と共に急激に進化する昨今、社会が飢えて求めているものとしては、これが第一位に挙げられるのではないかと思っています。
「我々が利用できる資源のうちで、絶えず成長と発展を期待できる唯一のものは、人間の能力のみである。」ハウンズフィールド氏とほぼ同時代の経済社会学者ドラッカー氏が言いました。

この記事を最後まで読んでいただいた若きあなた、その能力を、どのように発展させていくと思いますか?

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