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電情日記

古くて新しい電気絶縁材料について

野口 和夫

トーマス・エジソンの発明の一つに白熱電球を開発したことが知られています(実際はジョセフ・スワンだそうです)。この白熱電球をたくさん使用してもらうには送電設備が十分に整っていなければなりません。エジソンは送電事業にも関心があったようですが一番肝心な発電方法について結論がでていませんでした。すなわち電源を直流にするか交流がよいか決まっていなかったのです。交流支持の代表がウエスティングハウスで同名の電機会社がありました。エジソンは直流支持派でした。結果は交流送電になりました。(この理由は送配電工学で勉強してください)当然この両派で競争が起きます。そこでエジソンは送電に関する実験を随分行いしかも苦労を相当したそうです。苦労の原因は「絶縁」の重要性について認識が低かったからで、どうも裸線で実験していたとのことです。絶縁が十分でなければ事故を起こすことは当然考えられます。

昔の絶縁材料は天然のものがほとんどで、綿、天然ゴム、紙、雲母、磁器などがありました。その後工業化学の発展とともに絶縁材料に合成物質が使用されるようになりました。代表例としてポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルなどがあります。合成物質の絶縁特性は良いのですが、送電電圧が高圧になってきましたので耐圧性もよくしないといけないし、また大電流により発生する熱や高温の環境で使用する場合に対する耐熱性の向上も図らないといけなくなりました。ポリエチレンは酸、アルカリなど化学的に安定で優れた材料なのですが、軟化点が低いという欠点を持っています。その対策がポリエチレンを架橋させることです。架橋とは鎖状構造のポリエチレン分子どうしをところどころ結合させることです。これにより耐熱性を向上させることができます。このように架橋したポリエチレンを架橋ポリエチレンといい、XLPEと略記します。

ところが比較的近年直流送電が注目されるようになって来ました。今までも部分的には、あるいは局所的には直流送電が使用されてきました。たとえば、光通信用の海底ケーブルや離島への送電の場合です。直流送電用ケーブルの問題点の一つは絶縁体に電荷が形成されやすいということです。電荷が形成されるとそれによって局所的に高電界が発生し絶縁材料の劣化や放電事故につながる恐れがあるからです。このように形成される電荷を空間電荷といいます。この空間電荷の形成を抑制する絶縁材料の開発が目下この分野の大きなテーマの一つになっています。このために最近良く話題になる“ナノ粒子”をポリエチレンに添加し空間電荷発生を抑制することを考えています。

ナノ粒子の種類はMgO,TiO2,Al2O3,SiO2その他候補になるのはありますがどのナノ粒子が最適かはわかりません。現在ある種の感を働かせて最適なもの、量などを変化し、試作した材料の特性を測定しているところです。電気絶縁材料特性は空間電荷特性、熱劣化特性、電気伝導特性を測定して総合的な判断をしないといけません。あちらを立てればこちらがたたずというような場合が多いのですが、かなり良い特性を示すナノ粒子もあります。試作の例を写真に示します。Aは無添加XLPEで非加熱、BはMgO0.5%添加、180℃24時間加熱、Cは同じく48時間加熱のもので色の変化が現れ、劣化していく様子がわかります。絶縁材料は古くてもまだ新しく重要なころもある分野です。

電情日記

台北日記

関 弘和

先日,台湾の台北に行ってきました。SICE2010という計測制御に関する国際会議に参加してきましたが,日本に負けないぐらいの暑さで大変でした。
下の写真は「台北101」という「世界で二番目に高い建物」(509m)です。ちなみに世界一は,アラブ首長国連邦のドバイにあるブルジュ・ハリファという超高層ビル(828m)です。現在建設中の東京スカイツリーは634mなので世界二位になるようです。

この台北101の89階にある展望台まで行ってきました。驚くほどの高さであることは言うまでもありませんが,さらに驚くのはエレベータの速さと乗り心地。89階までなんと37秒で到達するのです。毎分1010mの速さ。加減速のときによく体感する気持ち悪さもありません。ちなみにエレベータは東芝製です。
エレベータの乗り心地設計には「加加速度」(英語ではjerk)という物理量が考慮されています。数学的に言えば,「位置(距離)」を微分したものが「速度」,その微分が「加速度」,さらにその微分が「加加速度」となります。「位置の三階微分」,「加速度の変化率」と言えます。この値をできるだけ小さく抑えることが乗り心地の向上につながると言われており,エレベータだけではなく,その他,電車や自動車などの乗り物にも応用できそうです。速度や加速度ぐらいまでは人間もイメージしたり感じたりことができそうですが,「加加速度」は難しそうです。しかしそのような物理量が乗り心地に関与しているというのが驚きです。

また台湾は大きな台風が頻繁に直撃するため,制振構造にも力を入れなければいけませんが,「チューンド・マス・ダンパー(TMD)」という,建物の屋上部に重りをバネやダンパーを介して設置し,強風が吹いたときの揺れを低減させるという技術が用いられています。89階まで行けばその現物を見ることができます。
このように電気電子情報工学科にも深く関係するあらゆる最新の工学技術が注がれていることが体感できる台北101,皆さんも機会があれば行ってみてはいかがでしょうか。

電情日記

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