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電情日記

Yes I can!

陶 良

こんにちは。「超音波 知りたいことを 測り出す」に続き、2順目の執筆となった陶です。高校生にしては大学受験、大変忙しいこの時期、大学にいる我々も期末試験や卒業研究などにいろいろ追われています。ちょうど最近、これら仕事の隙間で学会誌に一篇の投稿論文に取組んでいたので、その研究テーマを切り口として筆を走らせたいと思います。

この研究は、超音波を使って、空中物体の距離を精度よく測定する技術の確立を目指しています。基本原理は、「山びこ」と同じ、超音波パルスを目標物に向けて発信し、目標物から反射してきたパルス信号の時間差に、音速を掛けて距離を算出するものです。空気中の場合、電磁波や光の利用も考えられますが、前回の記事にも述べましたように、超音波は、光や電波より適用する環境が比較的に広い特徴を持っているため、応用の舞台が多々あります。車の衝突防止用バックソーナーを例として言いますと、探査目標の物体は木であろうが石であろうが、鉄板であろうがガラスであろうが、また、その表面状態は凸凹であろうが汚れであろうが、超音波ならば、なんでも反射信号が取れます。超音波の波長の長いことは、この特徴の理由の一つですが、その反面、測定精度の低い要因でもあります。これは、メジャーの「刻み」に例えると、波長が長いことは、刻みが粗いことに相当し、当然ながら刻みの細かいメジャーより距離測定の精度が落ちる訳です。こう言えば使える環境が広い特徴の持つ以上、その測定精度も物理的に限界があるでしょう。

ただ、今の技術、その限界に届いたのか?

専門性の高い話はここで展開しませんが、我々の新しく提案した手法の特徴を言いますと、昔からの信号処理技術である逆フィルタとマッチングフィルタを、それぞれの特徴を生かし、送信信号のプレ処理と受信信号のポスト処理に適用するところです。雑音に強いかつ波形の鋭い信号を得ることが狙いです。従来のある方法と比較した処理後の信号例を図示します。「刻み」が従来方法の約1/3に細かくなったことは見受けられます。

話を飛ばします。「距離測定」とは、応用によっていろいろバリエーションがありますが、超音波計測技術の始めから、ずっと研究され続けてきた課題とも言えます。この論文を書く際に、いつものように研究の新規性をアピールする必要がありますが、今回は昔から良くやられてきた課題を取り扱っているお陰でいつよりも苦労しました。この点について査読者とやり取りのなか、卒業研究の中で学生に指導していることを思い出しました。それは、卒業研究発表の前日、学生たちに私がいつも話すことで、「発表の直前に自分にこう言いなさい:僕は学生ではない、専門家だ。これから、僕がやってきた研究の面白さ、皆さんに教えてあげる。」ということです。

日ごろ努力の積み重ねは一番大事であること、言うまでもありません。が、進学や就職の受験やら、研究論文の発表やら、自分なりに努力したことを実らせようとする際、「Yes I can!」の自信を持つことも、必要ではないかと思います。

電情日記

学会活動の思い出から

多田隈 進

電気電子情報工学科の最年長にあたる多田隈ですが、間もなく定年を迎え千葉工業大学を去ることになります。技術者として教育者として学会にかかわることが多くありましたので、思い出話を書いてみます。

電気学会は在会年数が45年になりますと終身会員になります。米国の電気電子学会IEEEの場合、年齢が65歳以上で“実年齢と在会年数の和が100を超えるとLife Memberになります。私は両方ともそれをクリアしました。

(1)電気学会には卒業研究の内容を発表することが切っ掛けになり入会しました。原稿の締め切りが12月10日でしたので12月1日に入会した記憶があります。 学会では高名な先生や友人との出会いがありましたが、著名な先生の手伝いをして’87年、’88年に”電気機器工学ⅠとⅡ”を執筆しました。当時この教科書は電気学会通信教育の指定教科書でありましたので、多数の受講者からの質問への回答、年6回のレポートの採点、修了試験の採点をしました。これが電気学会の出版事業に携わる契機になりまして、「教科書・専門技術書出版委員会」に関わることになり、その後も電気学会の教科書を執筆することにつながりました。また、丸善(株)の「セメスター大学講義」シリーズの編者も務めました。

(2)IEEEには、初めて同学会で論文発表するとき入会しました。当時は企業に在籍していましたので、論文発表のための海外出張には待ち行列があり、順番が来るのに時間がかかりました。1970年代初頭は1ドルが200円を超えていましたし、飛行機は格安券などなくビジネスクラス、出張期間は2-3週間というのが相場でしたので、気軽に海外へという時代ではありませんでした。振り返ってみますと、この2-3週間という設定はきわめて重要な意味がありまして、論文発表前後の時間の使い方が海外まで出かける意義を左右するといえる程でした。私はGE社のSchenectadyの研究所他を見学させてもらいましたが、その時出会った4-5名の技術者が、その後大学に転身した人もあり、IEEEのIAS (Industry Applications Society)で指導的な立場になった人もいました。これらの人たちが多田隈をいろいろな場面で引き立ててくれました。 IAS のExecutive Board (理事会)の末席に加えてもらいましたし、理事会を離れた後にも、IEEEメダルの表彰委員会にも参加させてもらいました。 表彰委員会は電話会議Teleconferenceで実施されました。アメリカ4名、ヨーロッパ1名、日本1名で構成されまして、開催時刻は日本時間で午後10時から1.0-1.5時間。3年やりましたが、最終電車に急ぎ足で乗った記憶があります。

国内の学会でも海外の学会でも、自分の研究発表をすることと同様に他の研究者の話を聞いて勉強することが大切です。学会出張前後の時間の過ごし方は本人次第ですが、ビジネスの延長であるという本務を忘れないで、時間を無駄に使わないようにしたいものです。

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