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電情日記

レーザーで大気環境計測

野口 和夫

初めに少し長くなりますが大学生の勉学について述べます。

新入生のみなさん、もう一月がたちました。この一月はあっという間でしたでしょう。とくに地方から出てきた人は日常生活にも慣れないといけないし、大学生活のペースをつかまないといけないわけですから大変だと思います。ところが期待に胸を膨らませて勉強するぞと意気込んでいた(?)のに、もう大型連休になってしまいます。ここで遊び癖をつけたらいけないのです。なに大学生活は勉強だけではないさ、部活もあるし、バイトだっていい社会勉強になると思っていませんか。もちろんそういうことがないとも限りません。でもここでよく考えてほしいのです。大学の基本は勉強することです。こういうことを3,4年生になっても言う人もいます。それはただ勉強しなかった言い訳をいっているだけではないでしょうか。屁理屈と膏薬はどこへでもつきます。

「男子は25歳の朝飯前まで成長する」という言葉もあります。これは25歳になったら成長しないといっているわけではないですが、最適な、重要な時期というものがあるということをいっているのではないでしょうか。残された時間はそう長くないですよ!生涯学習とか一生勉強だとかいいますがこれらは別の次元の話です。

皆さん今まで自分から進んで、我を忘れて何かをすることがあったでしょうか?小さな子供がゲームコーナーで前の子の操作を一生懸命に見て、自分でもできるようになっているでしょう。それは自分から進んでしようとしているからできるのです。親に無理やりさせられている子供はいないのです。「自分から進んで取り組んで」ほしいのです。勉学にもなんにでもです。自分からやると思わぬほどよい結果が得られることが多いはずです。要するに「自主学習の精神」が基本だと思います。それから余計なお世話かと思いますが、皆さんの父母はどんな思いで子供らに出費をされているか少しは親の気持ちを汲んでください。はたしてあなたならあなたのような息子に授業料を出しますか?まだ書きたいこともあるのですが次回にすることにして、研究の一つを紹介します。

以前は大気汚染や酸性雨などの公害が大きな問題になったこともあります。最近では地球環境とくにオゾン層減少や温暖化などが話題になり、それらの解明と対策が緊急課題になっています。これらの現象は地球規模の広範囲で起き長期間にわたって進行しているものです。また多くの原因が影響しあっているものです。これらのことからわかるように原因究明に当たっては広範囲かつ長期間にわたるデータの蓄積と解析が必要になります。従来から行われているラジオゾンデや航空機によるデータ収集では限界があります。

まず、下の写真を見てください。夜空に向かって進む一本の緑の線。これは波長532nmのレーザー光線です。連続しているように見えますが1秒に10回断続しているパルス光です。光源や計測装置は部屋の中にありますから見えません。この装置をレーザーレーダーまたはライダーといいます。システムの構成はおもに光源、望遠鏡、データ処理装置から成ります。後で述べる測定対象によりシステムは異なりますが長くなるのでここでは略します。

光が空気分子やエアロゾル(浮遊塵)にあたると散乱という現象(反射とは違い光が物質と相互作用を行い再度光を生じる現象で最初の光と同じ波長のこともあり、異なることもあります。また波長と物質によっていろいろな種類の散乱があります)が生じます。この散乱光を望遠鏡で集めて電気信号に変換してから解析します。散乱光は大気中の各種原子分子やエアロゾルにより減衰したり吸収されたりしますので、この現象を利用することによって次に述べるようにいろいろな計測が可能となります。

レーザーレーダーにもいろんな種類がありますが、これでどんなことができるかというとつぎのようなことです。大気中のエアロゾルの性質や分布、動向などの測定があります。エアロゾルには排煙、排気ガス、霧や雲、黄砂など多くのものを含みます。また大気の汚染気体(NO2、SO2など)を測定するレーザーレーダーや気温の測定、風向風速の測定をするものもあります。さらにオゾンや水蒸気などの測定、高高度の金属原子の測定などがあります。このようにレーザーレーダーは大気の研究には欠かせない装置になっています。本研究室ではエアロゾルの高度分布の変動など測定しています。

また地上からだけでなく航空機や衛星に搭載し計測することも試みられています。測定対象は大気だけでなく海洋汚染や河川・湖沼の水質測定などにも及んでいます。レーザーレーダーのおおよその働きは理解していただけたでしょうか。環境計測にはなくてはならないものになりました。

電情日記

超音波 知りたいことを 測り出す

陶 良

こんにちは。超音波計測と信号処理を研究している陶良です。

さくらの散り去る季節で、みなさんはまだ「超音波」という言葉、印象に残っているのでしょうか?実は、年明け早々、本岡誠一教授の日記【聞くことを目的としない音で、見えない物を】に、簡単な紹介がありました。私は10数年前から千葉工業大学にきて、本岡誠一教授のご指導の下で、超音波計測について共同研究を進めて参りました。今日は、その中のひとつ、コンクリートの強度評価について、お話をさせていただきます。

コンクリートは、ビル、トンネル、橋梁、道路など多様な建造物に使われていますが、高度成長期に建てられたコンクリート構造物の寿命限界時期の到来、住宅品質保証促進制度の法制化などにより、継続的な検査・補修による建造物の長期間使用化が土木建築業における中心業務となりつつあります。しかし、現在コンクリート検査の標準手法は、人による目視、打音法が主であり、検査の安定性と精度に問題があります。超音波を使ったコンクリート検査の研究もありましたが、測定対象はコンクリート内部の大きな亀裂などで、強度だけ異なったコンクリート試料から受信した超音波波形信号より、強度を判断するのは非常に困難です。

そこで我々は、コンクリートを超音波伝播受信系の中の一環と見なし、受信信号のQuality Factor(Q値)より、コンクリート強度の特徴を抽出する方法を考案しました。研究の特徴として、まずは、コンクリート中に強力なインパルス弾性波を放射する必要があり、本岡教授の日記にも述べました電磁誘導型音源を使用しました。また、安定したQ値を求めるには、信号のスペクトルが必要となりますが、通常のフーリエ変換ですと雑音が多く、スペクトルの共振極も大きく影響されますので、その代わりに、信号の共振極を強調する全極モデルの線形予測信号処理法を採用しました。異なった強度のコンクリート試料を使って実験した結果、その有効性が確認されました。その後、電磁駆動条件や信号処理のパラメータのリファインをし続け、測定精度の向上を図ってきました。これらの成果を幾つかの研究論文や解説論文を発表し、学会で発表の時に建築業界の専門家も含め、多くの方々に注目されました。また、この研究で、文部科学省の競争的科学研究費を獲得しました。現在では、材質や寸法の異なった多種の試料を使って、実用的な定量評価に向けてちょっとずつデータを積み重ねています。

超音波計測は、その歴史が長くも短くもありませんが、空気、水、金属やコンクリートなどの固体、有りうる媒質に利用できる他に替えられない特徴の持つ上、穏やかながらまだまだ発展し続けるでしょう。これからも、今までの測定できないことや測定し難いことを、少しでもいいのですが、測り出したいと思っています。

電情日記

制御工学、その周辺散歩(1)

小林 正紀

電気電子情報工学科で制御工学の研究をしている小林正紀です。かなりおおまかに言いますと、制御工学は人工物を、人力に拠らないで目的に合うように制御する、工学の一分野ということになる。その対象は大変広範囲で、多岐に亘っている。研究室では、その中でも所謂サーボメカニズム(単にサーボ、サーボ系ともいう)と言われる分野を中心に据えている。サーボメカニズムは、変位、速度、加速度、角度など機械量の制御、もう少し分かりやすく言うと機械的に動くところを持つ人工物の制御という事ができる。今話題のロボットなどはその代表的な応用例の一つであり、例を挙げれば限がないぐらいわれわれの社会の多くの分野で活躍している。このサーボ系は、系を形つくる機構部、可動部(アクチュエータ)、エネルギー供給部、制御部(コンピュータ)、センサ部(情報受信発信)など夫々の働きをする各要素と制御理論の有機的組み合わせから構成されている。したがって、サーボ系の実現にはこれらの各要素技術とそのインターフェース技術、システム思考など多くの専門的知識が要求される、複合技術である。

研究室では、主としてアクチュエータ(電気サーボモータ)のデイジタル制御、エネルギー供給源としての制御電源(パワーデバイスとパワーエレクトロニクス)、計測制御センサなどの要素技術とその頭脳(制御部)としてのMPUの活用法についての研究を行っている。人工物の制御系には必ず目的がある。研究室の学生には、工学、技術はあくまでも手段であり、真の目的を常に意識し、個人を尊重した協同作業、基礎力の大切さや人間の知の継承の意味を理解し、物を創る喜びを実感してほしいと考えている。

実習の一コマ(卒業研究)

ところで、現在、制御工学の分野の末席を穢しているそもそもの動機は何だったのだろうか。おそらく1950年代、当時の月間誌に載っていた“鉄腕アトム“だったように思う。毎月の発刊日が待ちどうしかったことがいまでも思い出される。今は、二足歩行ロボット、ヒューマノイドロボット、パートナーロボットとロボット花盛りだが、鉄腕アトムは漫画に登場する空想のロボットである。しかし、今制御の立場で見ると、10万馬力、空を飛ぶなどはさておき、自らの判断で行動し〔自律性〕、人間の形をし(人間とのインターフェース)、人間のような感情や心を持っている〔だだし人工的で人間の心とは異なる〕など、今日のロボットの課題である多くの技術的内容がとりあげられている。 科学技術の進歩発達は加速度的で、フィードバック制御の考え方や真空管を用いたデイジタルコンピュータが実用化してから約60年、IT技術の驚異的発達によりわれわれは今情報の洪水の中で翻弄されている。また、生命科学,脳科学の発達も目覚しく、生物は細胞から臓器・組織や固体とあらゆるレベルで制御のネットワークによって生命を維持している。人工物の制御と生命体の制御には大きな違いがある。

制御をキーワードに、ときどき人工物からはみ出して散歩してみたい。

電情日記

2008年4月
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