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電情日記

やわらかいハードウェア

新井 浩志

電気電子情報工学科の新井です。皆さんは『やわらかいハードウェア』という言葉を聞いたことがありますか?
一般にコンピュータのLSIや基板などを『ハードウェア』、コンピュータに付随するプログラムを『ソフトウェア』と呼びます。『ハードウェア』とは、固いもの-すなわち実体があって一度作ってしまうと変えられないものを指します。これに対して、『ソフトウェア』とは、やわらかいもの-すなわち実体は無く何度でも変更可能なものを指します。このため『やわらかいハードウェア』という用語は矛盾しているように感じるかもしれません。
では『やわらかいハードウェア』とは何かというと、『変更可能なLSI(大規模集積回路)』のことです。これらは通常プログラマブルデバイスとかリコンフィギャラブルデバイスと呼ばれています。これらのLSIの内部にあるデジタル回路は、何回でも違う回路に書き換え可能であるという特徴を持っています。SONYのVirtual Mobile Engineという『やわらかいハードウェア』はPSPやウォークマンなどにも採用されています。

図1:やわらかいハードウェア     図2:シミュレータによる動作確認

電気電子情報工学科の計算機工学研究室ではコンピュータのハードウェア、ソフトウェエアに関して幅広く研究していますが、主要なテーマの一つが『やわらかいハードウェア』を用いて、故障しても自動的に自己修復するハードウェアを実現する研究です。あるハードウェアを作りたいとき、これを複数の部分回路に分け、1つ1つの部分回路をセルと呼ばれる回路ユニットで実現します。医学の分野ではどのような身体部分にも変化可能なES細胞のニュースが話題となっていますが、セルもちょうどこのES細胞のようにどのような部分回路にも書き換え可能な『やわらかいハードウェア』で作ります。各セルは周りのセルと情報を交換して自律的に自分の機能を決定し、書き換えます。このようなハードウェアでは、万能のセルを予備として用意しておくことによって、あるセルが壊れたときに予備のセルが自律的にその壊れたセルの機能を代替し、自己修復することが可能になります。
本研究室では、実際にセルを1次元に並べたハードウェアを作成し、その動作を確認しています(図1)。現在はセルを2次元平面上に並べた場合の動作についてシミュレータを用いて研究しており、2008年3月の電子情報通信学会で発表する予定です。

電情日記

本学における熱劣化研究の今昔

尼崎 巌

はじめまして。電気絶縁材料の劣化問題に関する仕事をしております尼崎です。今回は、当学科で長年継承されてきた電気絶縁材料の熱劣化研究を紹介してみようと思います。

電気機器やケーブルなどは、長年月使用し続けるとやがて事故や故障が起こってしまいます。その原因はさまざまですが、電気絶縁材料の特性が低下して絶縁を保てなくなることによって生じる場合があります。このような現象を「劣化」といいますが、その要因は、熱、電圧、機械力などが単独で、または複合しても生じることがあります。中でも熱によって特性が低下する現象は顕著で、これが「熱劣化」です。

熱劣化の研究が世界で最初に行なわれたのは、大正関東大震災2年後の大正14年で、東京帝大電気工学科の鯨井恒太郎と理化学研究所の赤平武雄によって報告されました。その耐熱寿命を算定する理論基礎は現在も用いられており,工業水準がまだ低かったこの時代に熱劣化研究が行なわれたこと事態驚くべきことです。

さて、話題を本学の熱劣化研究にかえましょう。上記した赤平先生が昭和39年本学に着任されて電気材料研究室を開設され、翌年文部省試験研究費を得て研究が開始されました。実験装置は電気炉や温度調整器など全て手作で7基を作製し、早速実験にとりかかりました。熱劣化の試験は長時間行なう実験で、須納瀬司先生が中心となって開始されました。卆研学生は実験が始まれば連日のように研究室に寝泊りして測定したものです。

閑話休題。私の小・中学時代に鯨井N君という友達がいました。後年N君の弁で、鯨井恒太郎先生はN君のお爺さんであることがわかり驚きました。縁とは奇なもの、私は後年熱劣化研究に従事することになるのです。

このようにして開始した研究は活発化するのですが、紙幅の関係上、途中経過は省略し、最近の状況について記してみます。

平成10年、熱分析の世界的権威・小澤丈夫先生が本学に着任され、熱劣化研究はさらに活況を呈することになりました。先生は、国内外に多数の論文を発表され、この分野での「千葉工大」の名前が世界に広まって行きました。現在、世界各地において熱劣化の研究は行なわれていますが、本学の熱劣化研究は系譜の本流であると言えます。

小澤・須納瀬両先生が退職された後、私一人がこの研究を継承することになりました。現在もいろいろな方法で熱劣化研究を続けていますが,等価時間法による絶縁材料の耐熱性評価方法、超音波を用いた絶縁材料の耐熱性評価方法そして周期的温度変化法による絶縁材料の耐熱性評価方法を中心に研究を行なっています。周期的温度変化法は、図1に実験データの一例を示したように、数回の台形周期温度変化(赤線)で試料を加熱すれば、緑線で示した一見複雑な質量変化が観測されます(測定時間は約4時間)。この1回の測定からデータを解析することによって熱劣化の全容を一挙に知ることができることが今年度の卆研実験の結果判明しました。

近年、機器等は高電圧化、コンパクト化および省資源化が進行中で、絶縁材料はますます過酷な役目を強いられる傾向にあります。このように劣化の研究は依然として重要問題なのです。

図1. 周期的温度変化法の一例(試料PP)

電情日記

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