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電情日記

電情で生体?

岡本 良夫

電気電子情報工学科に席を置きながら生体、特に脳や心臓を研究対象としている岡本です。異色な感じがしますが、脳は電気信号を使って情報の処理や伝達をしていますし、心臓の拍動をコントロールしているのは電気生理学的な現象ですから、私が電気電子情報工学科に所属していても不思議はありません。

何事も原因があって結果が生ずる訳ですが、これとは逆に結果から原因を推定する問題は「逆方向問題」、あるいは「逆問題」と呼ばれ、私の専門分野の一つとなっています。例えば脳活動の結果として発生する頭皮上の電位分布から脳内のどの部分が活動しているのかを推定する問題は「脳電位逆問題」と呼ばれます。様々な解法が提案されていますが、私の研究室では代表的な解法を組み込んだ脳電位解析システム(BS-navi:Brain Space Navigator)を開発しています。脳の働きを解析する基礎研究の手段としてだけでなく臨床応用も期待されるからです。

BS-navi表示画面の一例

植物や動物が微小な細胞から構成されることは常識でしょうが、どの細胞でも細胞膜の内外に100mV程度の電位差があることは知らない人も多いでしょう。「膜電位」と呼ばれるこの電位差の原因は細胞内外の各種イオン濃度の差にあります。濃度差は拡散によって解消するのが自然の成り行きですが、濃度勾配に逆らってイオンを汲み出すイオンポンプと呼ばれるタンパク質が細胞膜に分布するため濃度差が維持されます。細胞膜には何種類かのイオンチャネルも埋め込まれています。これらは状況に応じて開閉する微小な穴で、種類に応じて特定のイオン種だけを通過させます。チャネルが開けば対応するイオン種が濃度勾配に応じて細胞内外へと流入・流出しますので、イオンの持つ電荷によって膜電位が変化する訳ですが、この膜電位の変化こそが生体における情報の処理・伝達の基本となっています。
情報の処理・伝達が必要なのは脳や神経系だけではありません。例えば心臓では血液を効率的に拍出するため収縮のタイミングを全ての心筋細胞に伝達する必要がありますし、その不具合は死に直結します。そこで、不具合はどのような場合に発生し、どうすれば解消できるのかを検討する手段の一つとして心臓内の電気生理現象をシミュレートする研究も進めています。イオンポンプによるイオン輸送やチャネルの開閉などに関する分子レベルの現象、数万のチャネルを含む細胞レベルの現象、1mm3あたり数万個の心筋細胞を含む組織レベルの現象、更には数万mm3の心筋組織から成る心臓全体レベルでの現象に到るまで、全てを計算機内に再現する仮想心臓(virtual heart)の構築が目標です。突然死の原因である心細動の発生メカニズム、各種薬物の効果の検討、効率的な除細動の開発など、動物実験とは別の角度から有用な情報を提供できるのではと期待しています。

電情日記

発見から実用化へ

伊藤 晴雄

放電プラズマの基礎過程と応用について研究を行っている伊藤晴雄です。

放電プラズマの身近な応用例は蛍光灯、プラズマテレビの他、水の消毒、浄化に使われるオゾンの生成、携帯やコンピュータに内蔵されている半導体メモリの製造等に裏方として大活躍しています。今研究室のhotな話題は2つ。圧電トランス(PT)を用いた放電プラズマ発生器(プラズマリアクタ)の開発とオゾンの生成と消滅に関する研究です。

PTはフランスのキュリー兄弟により発見された圧電効果を利用した高電圧発生素子で、ノートパソコンの中でも使われています。本研究室ではPTをそのまま放電容器の中に収め、リアクタの高電圧発生用電源と誘電体電極の2役を果たす部品として使うという発想です。これにより、何と言っても軽くて小型、低電圧駆動で低消費電力型のコンパクトなプラズマリアクタを作ることができます。このリアクタに酸素を供給すると、誘電体バリア放電(DBD)によるオゾン発生器となります。調べてみると、従来から提案されている同じDBD方式の中でトップクラスの高い生成効率をもつことがわかりました。そこで目下大容量化に向け研究中です。

又、この中にXeやArを封入すると、エキシマ(励起2量体)と呼ばれる状態が形成され、これから200 nmより波長の短い真空紫外(VUV)光がよく放射されることもわかりました。そこでこれをコンパクトな“光源”として利用しようと研究中です。このような研究の着想が面白いとの評価を得て、2年前の夏、この分野で最も長い歴史を持つ大きな国際会議である電離気体現象国際会議(ICPIG)に招待され、論文発表をしてきました。

もう一つのテーマは実用型オゾナイザの非常に不思議で面白い、しかし深刻なトラブルに関する研究です。オゾナイザを長時間連続運転していると次第にオゾンを作らなくなる現象が起こることは世界中の現場の技術者が大なり小なり知っていたことのようです。しかし、その原因については詳細に調べる機会がないまま時間が過ぎていました。この話を聞いた時、私は大変驚きました。そこでこの現象の起こる原因をメーカーの研究者と一緒に突き止めることにし、色々相談しながら実験をしました。その時用いた方法は高額な装置を使ったものではなく、大学の講義で習う制御工学の中にある「ステップ応答」そのものを適用したもので至極簡単です。この実験結果を丹念に調べて結論を出し、論文にまとめ投稿し、最近査読をパスしました。複雑な現象をここまで調べた報告はなく、世界初!であると思います。そして次のステップを目指して引き続き研究しています。

このように未知なるもの、新しいものに注目しながら、院生や4年生と一緒に進めています。そこでの一貫した方針は基本の基本に立ち返り、“目の前で起こる現象をよく観測することだ”と学生諸君に伝えています。

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