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電情日記

もっと光を!

伊藤 武

今回の研究室紹介を担当する伊藤武です。私はかれこれ40年の間、通信システム、とくに光通信の仕事に関わっている。そんなこともあって研究室では光通信と光計測の研究に取り組んでいる。

“光”、すなわち、目に見えると思いがちだが、通信で用いられるのは目に見ない光が主流である。また、光通信システムが活躍している領域も我々の生活においては直接目に触れる機会はめったに無かったのが、最近ようやくブロードバンドのアクセスラインとして家庭やオフィスにまで浸透し始めている。その流れの延長で、家庭やオフィス屋内のブロードバンド配線として光を使ってみたいというのが研究の狙いである。勿論、銅線ケーブル、無線や電灯線によるシステムが既に実用の域に達しているが、そこに割って入ろうとの思いである。

屋内通信においては配線の煩わしさから開放されることが大きな魅力なので、光ファイバではなく“光無線”が研究の的である。例えば、会議室、研究室、講義室などで複数の人がパソコンや周辺機器を持ち寄り、即応的に通信ネットワークを構成することである。障害物による光の遮断を避けるため、送・受信機を天井に向けるのが一つの構成方法である。送信機からの光は天井、四方の壁、床などで1回だけの反射で受信機に達する成分から、何回も反射する成分まで多数である。通信路の特性把握は思いのほか煩雑である。実験やシミュレーションを重ね、ようやく有効なモデル化を完成した。通信路帯域特性の一例を図に示す。

ここではこの図を詳しく説明することが目的ではないので、感じを掴んで頂くためだけに、10m×10mの広さで高さ3mの部屋の中心に送信機を置く場合の各受信機位置での帯域であると言及するに留める。“光”と“影”と呼べるほど劇的な差異が帯域分布に生じうることが新たな知見である。このように特性が大幅に変化する環境下で、微弱な光を捉えて良好な性能を具現できる通信形式を模索するのが困難な課題である。

話題を転ずる。その研究が始まった当初、電話線や電灯線を使って~Mbpsを優に超える通信が可能と思える人は極めて僅かであったと思われる。卑近な例を一つ。もう10年以上前になるが仲間と一緒に、偶々、学会から論文賞を頂いたことがある。研究内容はコヒーレント光通信に関わるが、限界を突き詰めるという興味本位で始めたのが半ば正直なところで、当時とても実用になるとは私自身は考えていなかった。ところが昨今、コヒーレント技術を用いない最先端光ファイバ通信システムの開発は考えられない状況である。先見の無さを恥ずかしく思うばかりである。勿論、目論見通り上手くいかなかった例の方が圧倒的に多数であると容易に想像できるが、それでも、一見、できそうもないことを始めなければ新しい道が拓かれないことも事実であるとの思いを募らせている。
“光を・・・、もっと光を・・・。”を最後の言葉とした文豪の言葉をそのまま借用し、“もっと光を!”を標榜し続けようと思う。

電情日記

世界初,世界一をめざそう!

飯田 一博

電気電子情報工学科の飯田です.はじめまして.このウェブサイトでは,本学科の教員が順番にブログを書き込むことになりました.今回はその第1回です.

さて突然ですが,みなさんはヒトが2つの耳で音の方向をどのようにして感じているか,考えたことがありますか(普通はそんなこといちいち考えませんよね)?私はそういうことを約10年研究してきました.

ヒトの顔には左右に1つずつ耳がありますね.ですから,左右の方向は2つの耳に届く音の大きさの差や時間差でわかります.音源が右側にあれば,右の耳の音は左の耳に比べて大きく,そして早く届きます.このことは約100年前に明らかにされています.ところが,前後・上下はこれではわかりません.例えば,真正面,真上,真後ろ,真下に音源がある場合は,いずれも両耳に同じ大きさと時間で音が届きます.

では,どうしているのか?最も簡単な方法は耳を動かすことです.実際,コウモリやフクロウなどは餌(飛んでいる虫)を捕まえるために,頻繁に耳を動かしています.人間は耳を動かすことはできませんが,頭を動かすことにより音源方向を探ることができます.ところが,これで解決ではないのです.人間は頭を動かさなくても前後・上下がわかるのです.それはなぜか?

結局10年の歳月を費やしてしまいましたが,私は世界で初めて前後・上下の知覚メカニズムを発見しました(詳細は私の研究室のウェブサイトをご覧ください http://www.binaural-lab.com/ ).写真は,日米音響学会議(@ホノルル)に招かれて,この知覚メカニズムについて講演をした様子です.

また,実用化面においては,ヘッドホンで3D音響を楽しめる携帯電話,ポータブルオーディオ,DVD,さらに3次元音楽の作曲などに応用されています.今後,ロボットなどの分野での活用も期待されます.

今回の発見は,見方によってはごく些細なことかもしれません.しかし,事の大小ではなく,今まで誰もわからなかったことを解き明かし,そして実用化することが工科系大学における教育・研究の醍醐味ではないでしょうか.

ただし,天才でもない限り,最初から大きな世界初,世界一にはなれません.ですから,まずは狭い分野でNo.1をめざしましょう.例えば,高校生No.1のサッカー選手にはなかなかなれませんが,フリーキックNo.1,ヘディングNo.1,あるいはスローインNo.1なら努力次第でなれるかもしれません.それができたら,No.1の領域をどんどん広げてゆけばよいのです.私は小さなNo.1から始めて大きなNo.1に成長することが大切だと思っています.

受験生のみなさん,千葉工大に来て一緒に世界初,世界一をめざして研究を進めませんか?一緒に取り組む中で,研究開発,技術開発の考え方,姿勢をみなさんにお伝えしたいと思います.こうした経験は,大学を卒業し就職してからも,一生の財産になると思います.みなさんのお越しをお待ちしています.

電情日記

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